2018 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of mitochondrial response zone involved in innate immunity
Publicly Offered Research
Project Area | Toward an integrative understanding of functional zones in organelles |
Project/Area Number |
18H04863
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小柴 琢己 九州大学, 理学研究院, 准教授 (70403970)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ミトコンドリア / 抗ウイルス免疫 / 分子基盤解析 / ストレス応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内でのエネルギー工場とよばれるミトコンドリアは、融合と分裂を繰り返す動的なオルガネラである。近年、ミトコンドリアの新たな生理機能としてRNAウイルスに対する自然免疫が周知されてきた。この自然免疫では、ウイルス感染後の細胞内シグナル伝達反応がミトコンドリアの外膜上で行われる。本研究では、抗ウイルス自然免疫におけるミトコンドリアの関わりに着目し、一連のシグナル伝達におけるプラットフォームとしての役割以外の「潜在的なミトコンドリアの活性と免疫応答との繋がり」を分子基盤に即して解明することを目的とした。該当年度は、ミトコンドリア内膜領域における免疫応答ゾーンの解析を中心に行った。
該当年度は、ミトコンドリア内膜の形成に関わるタンパク質(PHB2)の構造機能解析を細胞レベルで行い、PHB2との新たな結合分子を同定することを目標とした。まず初めに、PHB2のC末端にビオチンリガーゼを付加した組換え体遺伝子を構築し、その遺伝子をHEK293等の細胞に導入して安定発現株の作製を行った。得られた安定発現株内のPHB2融合タンパク質は内在性のPHB2と同様の細胞内局在であることが細胞分画法や免疫染色法による実験結果から確認できた。次に、この安定発現株を用いてビオチン添加によるラベル実験を行い、PHB2との隣接距離内の相互作用分子の探索をプロテオーム解析により進めた。その結果、期待していた以上の相互作用分子の同定に成功した。現在は、これら候補因子のクローニングを進めており、今後のPHB2を中心とした相互作用ネットワークの構築を目指していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、PHB2の安定発現株をHEK293を用いて約半年かけて構築する予定でいたが、実験が順調に進み、大幅にその時間を短縮することが出来た。その結果、PHB2安定発現株を用いて、プロテオーム解析を行い、新たな相互作用因子を複数同定することに成功した。現在では、これらの探索因子の構造機能解析を中心に行っており、今後の相互作用ネットワーク解明へ向けて実験を進めていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
該当年度は、ミトコンドリア・ゾーンの中で、内膜、特にクリステ構造の役割に関する研究を中心に進めた。今後の研究では、PHB2を中心としたタンパク質間の相互作用ネットワークとクリステ構造の維持に関する相関解析を行い、その相関が自然免疫とどのように結びつくのかを明らかにしていきたい。クリステ構造の形成異常は、ミトコンドリアの品質低下や疾患とも大いに関連するため、その分子的な詳細を明らかにしたい。
|
Research Products
(6 results)