2018 Fiscal Year Annual Research Report
性染色体XO型の絶滅危惧種アマミトゲネズミ生殖細胞の性スペクトラム
Publicly Offered Research
Project Area | Spectrum of the Sex: a continuity of phenotypes between female and male |
Project/Area Number |
18H04883
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本多 新 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (10373367)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アマミトゲネズミ / iPS細胞 / ラット / マウス / 異種間キメラ |
Outline of Annual Research Achievements |
概ね順調な進捗であると考えている。本研究の肝となるのは雄のアマミトゲネズミからiPS細胞を樹立することであったが、これまでに計6ラインの雄由来iPS細胞株の樹立に至っている。これまで7年間に計20回以上、雄のアマミトゲネズミiPS細胞株の樹立に挑戦してきたが、ようやく樹立に至ったという点で大きな前進であると考えている。現在そのiPS細胞としての特徴を解析中である。これにより雌雄のアマミトゲネズミ由来iPS細胞が揃うことになり、染色体によらない雌雄決定機構の解析準備が整ったと言える。 また、生殖細胞への分化誘導に関しては、領域内共同研究として、理研BRCの的場博士や奈良先端大学院大学の磯谷博士のお力添えもあり、異種間キメラ動物作製技術を土台とした、生殖細胞補完と生殖巣補完実験の準備が順調に進んでいる。私達の強みはマウスだけでなくラットも扱うことができるという意味で、選択肢の幅の広さであるが、それでもラットの生殖工学技術はマウスに比べて後れていたことから、少し遠回りではあるがラットの生殖工学技術の開発にも力を注いだ。その結果、「簡単」「高効率」「確実」なラットの体外受精法とKO/KIラット作出法の開発に至り、現在論文を投稿中である。これにより、ラットを宿主胚とした超高効率異種間胚盤胞補完法が可能となり、マウス以外の動物種としてラットからも遺伝子破壊宿主胚を活用できる。異種間キメラの作出には、用いるドナー細胞の動物種や宿主動物種によって、寄与率や寄与する組織に差があることが報告しており、アマミトゲネズミのiPS細胞をドナーとして異種間キメラを作製するにあたり、マウスだけでなくラットも活用できるのは大きな武器になると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
とうとう雄のアマミトゲネズミからiPS細胞を樹立することができただけでなく、領域内共同研究により、異種間生殖細胞補完だけでなく、異種間生殖巣補完についても大幅な進捗が見られていることが挙げられる。さらに、少し遠回りをしたがその成果としてラットの生殖工学技術の大幅な進捗に恵まれ、マウスだけでなくラットも胚盤胞補完法の宿主として活用できるようになった。以上の成果から、本研究は概ね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
樹立した雄のアマミトゲネズミiPS細胞について、iPS細胞としての特徴を解析しながら、雌のiPS細胞との比較実験に進む。iPS細胞としての特徴を確認し、雌雄でのRNA-seqまでのデータが得られれば、そこで論文発表する予定である。また、同時並行でそれらiPS細胞を胚盤胞補完法のドナーとした実験を行う。この実験により、アマミトゲネズミの生殖細胞および生殖巣をマウスやラットの体内に生じさせることができると期待している。
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