2019 Fiscal Year Annual Research Report
オス特有のトラウマ記憶の性スペクトラム
Publicly Offered Research
Project Area | Spectrum of the Sex: a continuity of phenotypes between female and male |
Project/Area Number |
18H04887
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
坂井 貴臣 首都大学東京, 理学研究科, 准教授 (50322730)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | トラウマ記憶 / 求愛条件付け / Transformer / fruitless |
Outline of Annual Research Achievements |
ハエの「求愛条件付け」により作られるトラウマ記憶はオスにしか作れない記憶である。申請者はこれまでに5つの脳細胞群がトラウマ記憶に必要であることを見出していた。ハエ脳ではオス化ニューロンが約3000個存在する(Zhou et al., 2014)。本研究では5つの脳細胞群がオス化ニューロンであるかどうかを明らかにするため、組換え酵素FLPによるフリップアウト法(FLP/FRTシステム)と酵母由来の転写因子GAL4を用いた遺伝子発現システム(GAL4/UAS システム)を組み合わせ、各細胞群を構成するニューロンにおけるFruの発現の有無を検証した。その結果、3つの細胞群では全てのニューロンでFruが発現していた。また、記憶中枢では一部のニューロンで、また、インスリン分泌細胞では少なくとも1個のニューロンでFruが発現していることが明らかになった。 次に、各細胞群のオス化ニューロンをメス化する実験を行った。Tra強制発現により♂タイプのFruが発現しなくなるため、各細胞群をメス化できる。その結果、5つの細胞群のいずれか1つでもメス化されるとオスのトラウマ記憶が確認できなくなることが明らかになった。これらの結果は、少なくとも記憶に必要なニューロンは全てオス化ニューロンでなければオス特有のトラウマ記憶が作られないことを意味している。 トラウマ記憶に必要なLNdニューロンに関しては、成虫後にLNdニューロンにTraを強制発現してもトラウマ記憶が見られなくなった。これらの結果から、少なくともLNdで発現するFruは神経発生に必要なのではなく、オスのLNdでトラウマ記憶を維持するために必要なタンパク質をFruが供給していると考えられる。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(13 results)