2018 Fiscal Year Annual Research Report
Neuro-endocrinological mechanisms for male mice ultrasonic vocalization as a masculine spectrum characteristics
Publicly Offered Research
Project Area | Spectrum of the Sex: a continuity of phenotypes between female and male |
Project/Area Number |
18H04890
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
菊水 健史 麻布大学, 獣医学部, 教授 (90302596)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 性スペクトラム / 偏桃体内側核 / テストステロン / 超音波音声 / TRH |
Outline of Annual Research Achievements |
有性生殖をする動物ではオスメスという二項対立した性の戦略が深く議論されて、その行動と中枢メカニズムが解明されてきた。しかし、性の戦略は決して2極化だけが優位に働くわけではない。オスらしさを隠蔽し、オス同士の激しい競争から逃れつつ、繁殖の機会を狙うという戦略が魚類や鳥類ではみとめられており、オスの多様な表現型、すなわちオススペクトルとして知られてきた。そこで本申請では哺乳類では貴重なオスの性スペクトラムモデルであるUSVsに着目し、内分泌要因と性スペクトラムの関係を、下記の点から明らかにする。1)オスのUSVsの発声が、オス同士の競争に寄与すると仮説を立て、複数個体での対峙実験における社会的な機能(スペクトラム機能)を明らかにする。2)オスUSVsスペクトラムを生み出す神経回路として、主嗅球から偏桃体内側核前部の回路形成におけるテストステロンの役割を同定する。具体的には以下2点を明らかにする。この目的達成のため、以下2つを実施する。 1)オス同士の対峙場面ならびにメスをめぐる3社関係の場面におけるUSVsの役割を行動学的に明らかにする。特にこれまで開発してきたUSVsを特異的に発することが可能なデバイスを用い(Nature 1996)、USVsの再生実験を行う。 2)オスUSVsスペクトラムを生み出す神経回路として、主嗅球から偏桃体内側核前部の回路形成におけるテストステロンの役割を同定する。周産期テストステロンが主嗅球から偏桃体内側核に軸索を伸ばし、メス応答細胞と接続することで、USVs回路が完成すること、さらにテストステロン依存的のその量が調整され、スペクトラム行動が規定されると仮説を立てた。このスペクトラムメカニズムを解明するため、2-1)メス尿によって活性化する偏桃体内側核の細胞数とUSVsの発生回数の相関、2-2)主嗅覚と偏桃体内側核前部を、遺伝薬理学を用いてその機能を実証を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)オスのUSVsの発声が、オス同士の対峙場面ならびにメスをめぐる3社関係の場面におけるUSVsの役割を行動学的に明らかにする。メスと交配行動を示すオスは、他のオスがいない場面に比べて、他のオスの存在がある場合では、超音波音声の発生回数が増加し、聴衆効果が示された。このことから、オスマウス超音波音声が、オス間の性アピールの機能をもつ可能性を見出した。 2)オスUSVsスペクトラムを生み出す神経回路として、主嗅球から偏桃体内側核前部の回路形成におけるテストステロンの役割を同定する。これまで、オスのUSVsは、周産期のテストステロンによって形成される神経回路によって支配されていることを明らかにした。さらに昨年度までにUSVsの発声を担う回路は、メスマウスの匂いを受容し、主嗅球の背側部ならびに腹側を介して、偏桃体内側核前部の前部に投射する回路、特に発達期に発現するNeuropilin 2が軸索ガイダンスを担っていることを見出した。今回、メスマウスの周産期にテストステロンを処置することで、成長後の超音波音声の発生回数の上昇を見出した。この超音波音声の構造自体はオスと差がないことから、オス型の音声であることが示された。、またその制御が偏桃体内側核のTRH発現細胞を介在させる可能性を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)今年度もオスのUSVsの発声が、オス同士の競争に寄与すると仮説を立て、複数個体での対峙実験における社会的な機能(スペクトラム機能)を明らかにする。オス同士の対峙場面ならびにメスをめぐる3社関係の場面におけるUSVsの役割を行動学的に明らかにした。さらに詳細の行動解析なならびに音声解析を実施し、どような社会文脈において、オスの超音波音声の発生が増加されているのか、その際のオスのテストステロンの動態を含め、要因の解明を目指す。 2)オスUSVsスペクトラムを生み出す神経回路として、主嗅球から偏桃体内側核前部の回路形成におけるテストステロンの役割を同定する。周産期テストステロンが主嗅球から偏桃体内側核に軸索を伸ばし、メス応答細胞と接続することで、USVs回路が完成すること、さらにテストステロン依存的のその量が調整され、スペクトラム行動が規定されると仮説を立てた。これまで例数が少なかった性転換、性スペクトラムモデルのマウスを増やし、偏桃体内側核での神経活性(メス尿提示によるC-fosの発現量)の相関解析、ならびに活性化神経細胞の投射部位をTRHとの共染色によって明らかにする。
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[Book] 社会の起源2019
Author(s)
菊水 健史、市川 眞澄
Total Pages
162
Publisher
共立出版
ISBN
4320057961
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