2018 Fiscal Year Annual Research Report
Formulation and implementation of cancer forecasting model using data assimilation or deep learning
Publicly Offered Research
Project Area | Conquering cancer through neo-dimensional systems understanding |
Project/Area Number |
18H04895
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西浦 博 北海道大学, 医学研究院, 教授 (70432987)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 疫学 / がん / 予測 / 数理モデル / 深層学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本は未曾有の速度で少子高齢化と人口サイズ縮小が進む「減少人口社会」を経験している。社会はそれに応じて変化することが必須であり、猛スピードかつダイナミックに変化する癌の発生動態をシステムとして捉えた予測を施すことが求められる。本研究の目的は、感染に引き続く発がん過程のメカニズムを数理モデルによって記述し、疫学的な癌予測と除菌療法・ウイルス除去療法などの評価体系を抜本的に改善するためのモデリング体系を構築することである。予測の実装においては状態空間モデルを利用するが、従来的な粒子フィルタを用いたデータ同化と深層学習を利用したニューラルネットワークの両方で実装を行い、予測精度と信頼性の比較検討を図るべく検討を進めている。研究対象をモデル化の比較的容易な胃がんと肝がんの2つを中心的課題に据え、限られた期間と資金の中で今後の研究発展を期すことができるよう論文化を徹底して予測基盤を確固たるものにするよう工夫してきた。初年度は肺がんと胃がんの研究に注力して取り組んだ。肺がん研究ではコンパートメント型モデルを利用して人口動態(高齢化と人口減少)を捉えつつ、喫煙率の変動に伴う時刻・年齢・出生コホート別の癌リスク変動を加味した数理モデルをがん登録データに適合した。その結果、肺がんの罹患率および死亡率がおおむね質的に捉えられ、男性は2025年頃、女性は2035年頃に実数がピークを迎え、その後に減少傾向に至ることが示された。胃がんに関しては、H.pylori感染から胃がん発病に至るまでの数理的定式化と、長期予測を含む人口動態データおよび癌登録データの入手と整理、を実施した。特に前者に関連して系統的レビューに基づく抗H. pylori抗体陽性割合データを入手し、時刻と年齢に依存する感染力推定を実施し、原著論文としての成果発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた研究作業を完了し、最低限で目標にしていた原著論文も出版することができた。がん登録に係るデータの入手もできており、次年度研究に取り掛かる準備ができている。
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Strategy for Future Research Activity |
状態空間モデルを用いた予測を予定している。定式化する数理モデルは機構的モデルであり、予測の実装のためには状態空間として観察モデルを構築することが必須である。これまでの研究代表者の研究グループでは粒子フィルタを利用して感染症流行データに同化する技術を専門に研究に取り組んできたので、これまでの経験を基にデータ同化を利用した推定と予測にまず取り組む。加えて、ニューラルネットワークのうちfeed forward networkの1つであるCNN(convolutional neural network)を利用した状態空間モデルの実装も行う。妥当性と信頼性の比較検討を行い、データ同化と深層学習のパフォーマンスの比較評価を行う。
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Research Products
(7 results)