2018 Fiscal Year Annual Research Report
ノンコーディングRNAから翻訳される癌関連ポリペプチドの網羅的同定
Publicly Offered Research
Project Area | Conquering cancer through neo-dimensional systems understanding |
Project/Area Number |
18H04902
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 有樹修 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (60741519)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Long non-coding RNA / ポリペプチド / 癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
「がんに関連する新規ポリペプチド群を網羅的に同定し、治療への応用」を目指し、以下の実験を行った。
(1) PhyloCSFというアルゴリズムを使用して、翻訳されている可能性があるlncRNAを全てリストアップし、その解析により同定したORFのリストの中から、ヒトのがんにおいてRNAの発現量が変化しているものや、ポリペプチドのORF中にDNAの変異が存在するものを同定を行ったが、残念ながら興味深い候補の同定には至らなかった。 (2) 上記の網羅的スクリーニングとは別に、すでに癌関連ポリペプチドの候補を3つ同定しており、これらの解析を進めている。それらポリペプチドのうちのひとつはグリオーマで遺伝子が欠損していた。このポリペプチドは核移行シグナルを持ち核内に局在していた。結合タンパク質を同定してみると、HDAC3複合体を形成するサブユニットの全てと非常に強く結合していた。HDAC3複合体の活性が変化するとtranscriptomeが変化すると予想されるので、KOマウスのprefrontal cortexを用いてRNA-seqを行ったところ、KOで55個の遺伝子発現が上昇し、18個の遺伝子発現が低下していた。 (3) 上記のポリペプチド以外の残りの二個の候補に関しても同様に解析を進めていく。ひとつに関しては、すでにKOマウスとFLAGノックインマウスが作製を行った。別の候補に関しても同様に、現在KOマウスとFLAGノックインマウスを作製中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大規模スクリーニングにより新規の癌関連ポリペプチドを同定することは出来なかったが、既に解析中の候補に関しては興味深い表現型を示すことが分かった。これらの成果より、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) PhyloCSFというアルゴリズムを使用して解析を行ったが、残念ながら興味深い候補の同定には至らなかった。本年度はさらに別の癌データベースを用いて、再度同定を試みる。 (2) HDAC3複合体と結合しているポリペプチドの解析を進めていく。まずChIP-seqを行うことにより、ヒストンのアセチル化の状態、及びこのポリペプチドがどの遺伝子領域に結合しているかを同定する。さらに経時的に癌が生じないか検討する。必要に応じて発癌の誘導実験も検討する。 (3) 上記のポリペプチド以外の残り二個の候補に関しても同様に解析を進めていく。必要に応じて、発がんを促進するような遺伝子の導入や薬剤の投与を行う。さらに、結合タンパク質などを同定することにより分子機構を明らかにする。免疫沈降法とプロテオーム解析を用いてポリペプチドの結合タンパク質を同定し、結合タンパク質より予想される様々な機能解析を行い、分子機構を明らかにする。
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