2019 Fiscal Year Annual Research Report
トランスオミクス解析によるがん悪性進展機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Conquering cancer through neo-dimensional systems understanding |
Project/Area Number |
18H04903
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
押川 清孝 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50380051)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | がん / 代謝 / プロテオミクス / メタボロミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
正常細胞をhTERT/SV40-T抗原/c-Mycでトランスフォームさせると、通常の2次元培養での増殖能は著しく増加するが、足場非依存増殖能(コロニー形成能)は決して高くない。また、ヌードマウスでの造腫瘍能もほとんど有さないことがわかっている。本研究課題では、この細胞を前がん状態細胞と仮定して足場非依存培養を繰り返し行うことで段階的に悪性進展した細胞集団(AIG細胞)を多数単離し、これら細胞集団のプロテオミクスおよびメタボローム解析を行った。プロテオミクス解析に関しては、我々が独自に開発した大規模ターゲットプロテオミクスであるiMPAQTシステムによる代謝酵素群を測定対象とした定量解析を実施した。その結果、悪性進展化に伴いglutaminolysis(グルタミンをグルタミン酸やクエン酸へと分解する)を制御する酵素GLS(glutaminase)ではなく、グルタミンを直接DNAの窒素源として利用する酵素PPAT(phosphoribosyl pyrophosphate amidotransferase)の明らかな発現上昇が見られた。これを裏付けるように、メタボローム解析ではグルタミン酸やクエン酸関連代謝物の低下と核酸関連代謝物の増加が見られた。さらにがん細胞にPPATを発現上昇させることでグルタミンの窒素からDNAを効率的に合成し、逆にPPATの反応を阻害することでがん細胞の増殖を効果的に抑制できることを示したことで、グルタミンからの窒素代謝シフトが、がんの悪性化の過程に必須であることを明らかにした。また、がん患者のメタアナリシスから、PPATが約1200種のヒト全代謝酵素の中で最もがん患者の死亡リスクを高める因子であり、特に小細胞肺がんをはじめとした難治性がんを治療する上で有望な標的になることを見出した。本研究成果を学術論文として投稿し、受理された。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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[Journal Article] A Shift in Glutamine Nitrogen Metabolism Contributes to the Malignant Progression of Cancer2020
Author(s)
Manabu Kodama, Kiyotaka Oshikawa, Hideyuki Shimizu, Susumu Yoshioka, Masatomo Takahashi, Yoshihiro Izumi, Takeshi Bamba, Chisa Tateishi, Takeshi Tomonaga, Masaki Matsumoto, Keiichi I Nakayama
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 11
Pages: 1320
DOI
Peer Reviewed / Open Access