2018 Fiscal Year Annual Research Report
Structure and mixing processes of submesoscale fronts in the Kuroshio and Oyashio regions
Publicly Offered Research
Project Area | Ocean Mixing Processes: Impact on Biogeochemistry, Climate and Ecosystem |
Project/Area Number |
18H04912
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 幸彦 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (80345058)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 黒潮・親潮域 / サブメソスケール / 前線 / 鉛直混合 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、連携航海および既取得データの解析と、31年度に実施する新青丸航海の準備を行なった。沿岸域におけるサブメソスケール前線構造と乱流強度の関係を明らかにするため、岩手県大槌湾沖に観測線において、新青丸によるUnderway CTD (UCTD)・乱流計 (VMP)による高解像度・連続観測を行った。 大槌湾沖におけるUCTDによる観測では、JFE Advantech社製 Rinko Profilerを改良した多項目プローブを用いて、従来の停船してのCTD観測の解像度をはるかに上回る400 m-1.5 kmの間隔でデータを取得した。大槌湾沖では、湾口付近を津軽暖流が覆い、その沖では上層に黒潮、下層に親潮が存在していた。乱流強度は津軽暖流/親潮前線で顕著に強く、Internal tide chimney 仮説(Itoh et al. 2016)を支持した。6時間ごとに実施した往復観測では、これらの前線が潮汐に伴って顕著に変動し、内部波を射出している様子が捕らえられた。平成30年3月下旬に実施した新青丸航海では、水塊配置や内部波の特性、乱流強度等、7月とは大きく異なる分布が得られ、現在解析を進めている。 2013、2014年に実施した白鳳丸KH-13-7、14-3航海では、夏季に西経170度に沿った太平洋縦断線において物理・化学・生物の総合的な調査を行った。この調査では、全てのCTD観測点において乱流計観測を実施しており、このデータを解析して乱流栄養塩フラックスの海盆スケールでの分布を求めた。栄養塩フラックスは、躍層が浅く乱流強度が強い熱帯域と亜寒帯域で強く、フラックスの極大はクロロフィル極大の下層に見られた。一方、水中PARと比較すると、クロロフィル極大は0.1-1.0 mol/m^2/dの範囲にはあるものの、高緯度ではより極大が浅い(PAR強)層に見られ、光強度だけではなく、フラックスやそれに適応した群集間の相互作用により極大が形成されていることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年間の研究実施期間の1年目にあたり、次年度の研究航海(採択済)の準備としての既存研究機器の整備、2回の連携研究航海の実施、および既取得のデータ解析を概ね予定通り推進することができた。全体会議等を通して計画班との連携計画も進み、最終年度に向けて概ねに順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、三陸沖の高気圧渦を対象に、成層した外洋域のサブメソスケール前線構造と乱流強度の観測を行う。また、連携航海では沿岸域の観測を季節ごとに行う。これにより、潮汐や大気擾乱以外による乱流の励起過程に関する知見を得ることができる。また、サブメソスケール現象の知見を、研究計画班の取り組みにインプットすることで、サブメソスケール前線に伴う混合による物質・生物相の分布実態の解明に迫ることが期待される。
|
Research Products
(2 results)