2018 Fiscal Year Annual Research Report
高速2光子軸索機能イメージングで読み解く軸索神経活動の発振現象と行動連関
Publicly Offered Research
Project Area | Non-linear Neuro-oscillology: Towards Integrative Understanding of Human Nature |
Project/Area Number |
18H04934
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 康裕 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (20533128)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | オシロロジー / 大脳皮質 / 軸索 / 2光子顕微鏡 / カルシウムイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は軸索神経活動の発振状態や同期化と行動との関連を調べ、文脈依存的な同期化などを探索することである。 本年度は、まず軸索活動と行動の関連を調べる手法を確立した。動物の行動として、レバー引き課題の成功率とレバー軌道から抽出された運動の様々なパラメーターを用意し、これらを軸索の神経活動から説明するという統計モデルを立てた。モデル化においては柔軟な入出力関係を得ることができる一般化線形モデルを用いて、成功率については二項分布を用いるなどにより、線形モデルを用いた場合よりデータに即したモデル化を実現した。このモデル化により、大脳皮質の層の違いによって、軸索の神経活動とこれらの行動に関する変数との関連性が異なることを見出した。また、皮質での軸索イメージングを行いながら、皮質下で光刺激を行い、光刺激に誘導される軸索活動を観察した。 動物の行動をレバー引きに限らず、より多様な運動をさせた場合の運動情報を抽出することは今後、軸索神経活動の発振と運動との関連を解析するうえで非常に重要である。3台のカメラを用いて、口元、両手の運動、レバーを引く右手の拡大図について200 Hz程度で記録し、これらの動画から、深層学習を利用したプログラムを用いて動物の手や舌などの任意の部位について、座標を連続的に自動取得する記録・観察系を実現した。同じ深層学習を利用した手法を用いて、脳部位の一部を損傷した動物の行動を解析し、抽出した行動から損傷部位をある程度推定できることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は軸索神経活動の新規のイメージングよりも、動物行動との関連を調べるための手法の開発・適用にエフォートを割いた。すなわち、動物行動を画像から深層学習を用いて自動取得する系、および、動物行動と神経活動を関連付けるための統計的手法の確立といった面を先行しておこなった。これらの手法は行動時の軸索活動と行動を関連付けていく際に必須となる手法である。実験面での遅れがあるものの、解析面での進展があったため、おおむね順調に進展しているものと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は実験面で軸索神経活動の新規のイメージングが行えなかったため、来年度は実験面に注力して研究を進展させる。生体での電気生理的手法を導入し、イメージング技術との組み合わせによって発振現象を明らかにしたうえで、それを本年度確立した、動物行動の自動取得系と組み合わせることで、本研究課題の目的である、軸索神経活動の発振状態と行動との関係の解明につなげる。
|
Research Products
(6 results)