2018 Fiscal Year Annual Research Report
Rhythmic neural activity in the striatum of running mouse
Publicly Offered Research
Project Area | Non-linear Neuro-oscillology: Towards Integrative Understanding of Human Nature |
Project/Area Number |
18H04945
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木津川 尚史 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (10311193)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Step-Wheel / マウス / 線条体 / 歩行 / ドーパミン |
Outline of Annual Research Achievements |
スポーツや楽器の演奏など、我々が運動を行う中で上手に遂行できた部分とそうでない部分があることは、運動を見たり行ったりする際に感じるところである。しかし、実際運動の何が異なっているのかは不明である。連続運動では通常、運動の成否の大部分が体部位間協調により左右されている。 複雑な運動中に体の協調がどのように構築されるかを解析するために、ステップホイール装置を用いて複雑な連続ステップ走行をマウスに行わせ、マウスの運足がどのように構成されるかを計測、解析した。その結果、運動が安定している領域と不安定な領域がマウス個体ごとに見いだされ、安定領域ではマウスの四肢や口の運動が、リズムのパラメタである周期、位相により協調されていることがわかった。このことは、マウスは体部位間の協調をリズムを基調にして行っていること、また、運動が順調に遂行されている区間ではリズムによる体部位間協調が成功していることを示している。 ステップホイール装置で走行しているマウスでは線条体神経細胞が活動することがわかっている。そこで、線条体神経活動が、リズムのパラメタである、周期、位相などに反応するか否かを解析した。そのために、周期測定用あるいは位相測定用に作製したペグパターンを用いてマウスを走行させた。走行するマウス線条体から神経活動を記録したところ、ペグへのタッチに反応する線条体神経細胞の多くが、特定の周期、また特定の位相に対して至適反応性を示した。線条体への主な運動、感覚入力が大脳皮質から入ってくることを考慮すると、この結果から、線条体は大脳皮質の活動の周期性を検出している可能性が考えられる。また、異なる大脳皮質部位の活動の時間的相対性を検出した結果が、線条体神経細胞の位相応答である可能性が考えられる。線条体は、周期、位相を検出することにより、運動の協調に寄与している可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
神経活動の記録については、一時期記録にノイズが生じるようになり困難に直面したが、記録機器を構成しなおすことによりノイズを低減できた。その後は順調に記録細胞数を増やすことができ、解析では想定以上の結果を得た。 一方、飼養施設でマウスの感染がわかり、遺伝子組換えマウス(ChAT-creマウスほか)を用いた実験ができない時期ができた。クリーンアップ前に急遽、一部実験を行ったが、本実験は繰り延べとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子組み換えマウスが利用できなかったために光遺伝学実験は遅れているが、その分、電気生理実験とその解析に注力することができたので、その結果についてまとめる。また、この結果を今後の光遺伝学実験に利用することにより、遺伝子組換えマウスが利用可能になったのちには、効率よく光遺伝学実験を進める。 Creリコンビナーゼを発現する遺伝子組換えマウスを必要数繁殖させ、光遺伝学実験を再開する。走行における線条体神経細胞の特性が電気生理実験により明らかにできたので、光遺伝学実験では、その特性(周期、位相)について集中的に解析を行う。特に、線条体内のドーパミンが運足の周期、位相ににどのように影響するか解析する。
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