2018 Fiscal Year Annual Research Report
A reservoir computing approach for the universality and individuality of human brain oscillations
Publicly Offered Research
Project Area | Non-linear Neuro-oscillology: Towards Integrative Understanding of Human Nature |
Project/Area Number |
18H04948
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
末谷 大道 大分大学, 理工学部, 教授 (40507167)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脳波時系列解析 / 多様体学習 / log-detダイバージェンス / リザバー計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度では、多チャネル脳波として計測したヒト脳ダイナミクスについて、チャネル間の脳波位相同期行列に対してCichockiや甘利が提案したlog-detダイバージェンスを用いた行列間距離を導入し、その距離に基づく多様体学習(ISOMAPやt-分布確率近傍埋め込みなど)によって、ヒト脳振動集団を低次元空間で可視化する方法を提案した。そして、この提案手法を理化学研究所・北城チームで実験・計測した100名の脳波時系列データ(63チャネル、安静閉眼時脳波)に対して適用し、個人個人の脳波特性の違いを教師なし学習でかつ低次元空間上の配置として同定することができた。 また、公開されている統合失調症患者と健常者の脳波時系列データ(14名、19チャネル、安静閉眼時脳波)に対しても提案手法を適用した。その結果、ガンマ波帯域での位相同期を用いた場合に比べて、シータ波帯域の位相同期でのlog-detダイバージェンスに基づく距離を用いた場合、個人の識別性は下がるものの、統合失調症患者と健常者との脳波ダイナミクスの定性的な違いが低次元空間内の配置の隔たりとして可視化することができた。 位相同期の他にも、パワースペクトル密度間の板倉-斎藤ダイバージェンスに基づく多様体学習を適用した研究も進め、国際会議でのプロシーディング論文を含む口頭発表などを行なった。現在、さらなる解析(他の多様体学習の比較など)を進めると共に上記の結果の妥当性について検証を進めている。また、原著論文の執筆作業を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題のテーマである「ヒト脳振動の普遍性と個別性」については、位相同期行列に対するlog-detダイバージェンスと多様体学習を組み合わせた方法を提案し実際の脳波時系列データに適用して有望な結果を導くことが出来た。現在、結果を整理して論文を執筆中であり、順調に進んでいる。 しかし、リザバー計算による脳波時系列データのモデリングに関しては進捗が少ない面もあった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度では、2018年度の研究で進捗のあったlog-detダイバージェンスに基づく行列間距離の導入とその位相同期行列への適用による脳波に内在するヒトの個別性の解析について、汎化性やより定量的な解析等を更に進めて本論文としてまとめる。研究協力者の北城圭一氏と共同で進めている 200名規模の健常被験者データ、および公開されている統合失調症患者の脳波データ等複数のラボで計測されたデータ間の統一的比較を行うことで、ヒト脳振動現象の背後にある普遍性と個別性を解明する。 また、脳波レベルの神経活動を定量的に再現するリザバー計算モデルについての研究については2018年度は進展が少なかったので、研究協力者の赤穂昭太郎氏と加藤秀行氏と連携して遅れを取り戻す。
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Research Products
(6 results)