2018 Fiscal Year Annual Research Report
個体間脳波オシレーションのニューロフィードバックコントロール
Publicly Offered Research
Project Area | Non-linear Neuro-oscillology: Towards Integrative Understanding of Human Nature |
Project/Area Number |
18H04954
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大須 理英子 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (60374112)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インタラクション / コミュニケーション / ハイパースキャニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、ブレインマシンインターフェース技術やニューロフィードバック技術を社会神経科学に導入し、二者間の脳波同期レベルをリアルタイムフィードバックスするシステムを構築する。同期レベルをモニターしながら二者が様々なインタラクションを試みることで、どのような条件で個体間の脳波の同期がおこるのかを探索することを目指す。本年度は、オフラインで同時計測することを試みた。また、リアルタイム処理にむけたハードウェアの準備を進めた。 <NFシステム設計> 二個体の脳波をオフラインで同時計測するシステムを構築した。OpenBCIを利用し、当初は16チャンネルの1台の脳波計を分割して8チャンネルずつ二個体から計測した。その後、LSLを使用して16チャンネル2台を同期させ、リアルタイム表示するシステムを構築した。 <二個体間脳波同期の要因の探索> 二人が交互タッピング課題を行っている際の脳波を8チャンネルずつOpenBCIを用いて同時計測した。脳波同期レベルの指標として、二人の各チャンネルベアについて、振幅の大きさに影響を受けず位相同期のみを評価するPhase Lag Indexを算出した。その結果、二個体間脳波同期レベルは、二人が1年以上の知り合いであったほうが、面識がない場合より上昇することが示唆された。また、振幅と同期の両方を勘案するコヒーレンスについても同様の結果となった。一方、タッピングのパフォーマンスと二個体間同期レベルには関連は見られなかった。すなわち、二個体の社会的な関係性が脳波の同期に重要な要因である可能性が示された。これらの成果をオシロロジ班会議においてポスター発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の計画通り進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
<NFシステム設計> 2018年度に二個体の脳波を同時計測するシステムを構築し、リアルタイム表示のためのソフトウエアとハードウェアの準備が整った。そこで、2019年度には、同期のパラメータであるPhase Lag Indexをリアルタイムで算出し、表示するシステム開発する。Phase Lag Indexは、Lag 0で同期する場合は、ノイズとして扱うため、外部ノイズによる見かけの同期に対してロバストである。また、振幅の影響を受けず、純粋に同期の度合いのみを評価するので、本研究課題に適すると考えている。テスト実験を行い、対象とするチャンネルや周波数帯域、ベースラインの取り方を検討する。脳波計は、OpenBCIを使用する予定である。計画班や領域の他の公募研究メンバーにも指導を請い、適切な信号処理を探索する。 <二個体間脳波同期の要因の探索> 2018 年度の研究で、二個体間脳波同期レベルは、二個体が1年以上の知り合いであったほうが、面識がない場合より上昇することが示唆された。これについて、2019年度は親密度の質問紙やEQなどによって二人の親密度を評価することを加えることで、親密度が同期レベルに影響するかどうかをより客観的に評価する。また、同期の指標はPhase Lag Indexを使用したが、他の指標についても検討する。なお、2018年度は脳波のチャンネル数が8チャンネルと少なかったが、ソフトウェアの改善などで、より多くのチャンネルの同期を計測することが可能となったため、同期に関連する脳部位について、より詳細に検討することを試みる。課題は2018年度と同様に二人の交互タッピングを使用する予定である。これらの結果を班会議及び学会において発表する予定である。
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