2018 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト脊髄歩行中枢の発振現象の制御
Publicly Offered Research
Project Area | Non-linear Neuro-oscillology: Towards Integrative Understanding of Human Nature |
Project/Area Number |
18H04958
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
西村 幸男 公益財団法人東京都医学総合研究所, 認知症・高次脳機能研究分野, プロジェクトリーダー (20390693)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脊髄歩行中枢 / 脊髄損傷 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、研究代表者の開発した閉回路型の脊髄刺激法によりヒト脊髄歩行中枢を操作し、刺激で誘発される歩行リズム、ステップ長、歩行様式などを制御できるか検証することを目的としている。研究の初年度にあたる30年度では、脊髄歩行中枢の位置を推定するために脊髄刺激により歩行運動を誘発できる刺激部位を特定すること目標とした。さらに、その特定された刺激場所において、脊髄刺激のリズムを随意的に操作することで、誘発される歩行の開始や停止、速度等が制御可能になるか検証した。その結果、健常被験者において効果的に歩行を誘発できる刺激位置が第1胸椎から第3胸椎までの椎骨間にあることが確認された。また、この位置での脊髄刺激リズムを被験者が自己制御することで誘発される歩行運動の開始および停止が意図時に操作できることが証明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに以下にあげる成果を得られているため、本研究は現在まで順調に進捗している。第一に脊髄刺激によって効果的にヒト脊髄歩行中枢を賦活させられる刺激位置を特定することができた。ヒト脊髄への磁気刺激は、歩行だけでなく両脚が同位相で動くうさぎ跳びのような運動を誘発する場合がある。そこで、健常被験者において第11胸椎から第5腰椎までの範囲で刺激位置を探索し、効果的に歩行運動を誘発できる位置が第1腰椎から第3腰椎までの椎骨間にあることを確認した。また、1名の脊髄損傷患者においても、健常被験者と同様に脊髄の刺激位置に依存して誘発される下肢運動が異なることを確認した。第二に、閉回路型の脊髄刺激法により、脊髄刺激リズムを自己制御することで誘発される歩行運動の開始や停止が意図的に操作できることも確認できた。以上のように、本研究の目的を達成するために順調に研究が進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の2年目にあたる本年度は、被験者自身が操作した脊髄歩行中枢への刺激によって歩行機能回復を促すことが可能であるか検証する。それにより、歩行機能障害のリハビリテーションとして本研究で用いる閉回路型の脊髄磁気刺激が有効であるか検証する。歩行機能障害のある脊髄損傷者を対象に約6ヶ月の脊髄刺激による介入を行う。脊髄磁気刺激は横臥位姿勢で、被験者自身の制御によって行う。介入の効果を脊髄磁気で誘発される下肢の歩行様運動の3次元動作解析や筋電図解析から評価する。脊髄刺激の反復による誘発歩行運動のステップ幅やペースの変化を測定し、脊髄歩行中枢の可塑的変化を短期的および長期的に評価する。
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