2018 Fiscal Year Annual Research Report
Plasticity of autonomic nervous system induced by gravitational change: a role of C1 neurons in vestibular pathway
Publicly Offered Research
Project Area | "LIVING IN SPACE" - Integral Understanding of life-regulation mechanism from "SPACE" |
Project/Area Number |
18H04974
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
安部 力 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (10585235)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 前庭系 / 自律神経系 / C1神経細胞 / オプトジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
我々のこれまでの研究から,前庭系可塑がその下流であるC1神経細胞の性質を変え,自律神経や視床下部-下垂体-副腎系の制御不全が起こることで生理機能低下が生じている可能性が考えられる。この仮説の正当性を明らかにするために,本年度は,遺伝子工学を応用した神経細胞特異的操作法を用いて,以下のことを明らかにした。 1) 末梢前庭器からC1神経細胞への経路:ラットを過重力環境に曝露するとC1神経細胞にFosの発現がみられ,この発現は末梢前庭器の破壊により消失した。C1神経細胞のある延髄吻側腹外側野に逆行性の神経トレーサーを投与すると,末梢前庭器から情報を受ける前庭神経核神経細胞からの投射がみられた。また,前庭神経核に順行性の神経トレーサーを投与すると,延髄吻側腹外側野領域への投射がみられた。 2) 前庭神経核神経細胞の可塑による自律神経応答の低下:光遺伝学の技術を用いてラットの前庭神経核神経細胞を操作すると,光による興奮で腎交感神経活動と動脈血圧の増加がみられた。腎交感神経では80 msの潜時をもって誘発電位がみられた。この応答性は,過重力環境下飼育によって抑えられることがわかった。 3) C1神経細胞の可塑による自律神経応答の低下:C1神経細胞は心理的ストレスや身体的ストレスによって興奮する。空気圧や音などの前庭系を介さない刺激による腎交感神経や動脈血圧の応答性は,ラットを過重力環境下で飼育しても変化しないことがわかった。このことから,過重力環境下飼育ではC1神経細胞に可塑が生じないことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記した結果の論文が投稿準備段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
国際活動支援によるバージニア大学との共同研究では,「迷走神経光刺激による急性腎不全の保護作用」と「交感神経応答における延髄吻側腹外側野のC1神経細胞と非C1神経細胞の役割」の実験を行っており,本年度中の論文投稿を目指す。また,本年度からJAXAの国の戦略的研究募集区分で「きぼう」を使ったヒトの加齢に関連する研究に採択された。テーマは「自律神経機能の低下に伴う唾液分泌量の減少が口腔マイクロバイオームに与える影響の解明」である。共同研究者である九州大学大学院歯学研究院口腔保健推進学講座口腔予防医学分野の竹下徹氏とともに,宇宙空間での自律神経の乱れによる唾液分泌低下が口腔マイクロバイオームに与える影響を調べていく。
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