2018 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙の閉鎖空間を想定した物理的ストレスの複合的影響の解析と防御法の開発
Publicly Offered Research
Project Area | "LIVING IN SPACE" - Integral Understanding of life-regulation mechanism from "SPACE" |
Project/Area Number |
18H04975
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大神 信孝 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (80424919)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 低周波騒音 / 前庭 / 内耳 / リスク評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】低周波騒音(LFN)は、100 ヘルツ(Hz)以下の周波数を持つ音と定義され、屋内などの閉鎖空間で空調・電子機器・重機などから発生する物理的環境因子である。LFNのリスク評価に基づいたLFNの標的組織の情報が極めて限られており、予防法は確立されていない。 【目的】国際宇宙ステーション(ISS)内を想定した物理的ストレスとして微小重力環境とLFNの複合的影響を細胞レベルで調べる第一歩として、本研究では、LFNによる前庭機能への効果をマウスとヒトで明らかにする事を目的に研究を実施した。 【方法】野生型マウスを対象に、LFNの過剰曝露を実施した。ロータロッドや平均台試験などの行動解析と前庭誘発筋電位(cVEMP)により平衡感覚を評価した。聴性脳幹反応(ABR)や歪成分耳音響放射(DPOAE)により聴力への影響も評価した。 【結果】閉鎖空間でのLFNの過剰曝露実験により、未だ例数は限られているが、マウスの前庭の耳石膜がダメージを受けている予備的結果が得られた。また、行動解析とcVEMP測定により、前庭の機能障害が誘発される事が示唆された。修復分子のHSP70の発現を増強した遺伝子改変マウス(HSP70-Tg)をLFN曝露実験に用いた所、平衡感覚障害を予防できる可能性がある事が分かった。 【今後の展開】LFNの過剰曝露の標的部位が前庭の耳石である可能性、そして修復分子HSP70でLFNのリスクを予防できる可能性が出てきたので、今後、更に例数を重ねて、結果を確定したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスを対象にした低周波騒音のリスク評価をセットアップ出来て、標的部位の候補も明らかになりつつある為。
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Strategy for Future Research Activity |
LFNのリスクを評価出来るようになったので、この評価系で、更に例数を重ねて結果を確定し、国際科学誌に論文発表する。
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