2018 Fiscal Year Annual Research Report
Exploration of genetic basis underlying individual differences of radiosensitivity for the management of space radiation-exposure
Publicly Offered Research
Project Area | "LIVING IN SPACE" - Integral Understanding of life-regulation mechanism from "SPACE" |
Project/Area Number |
18H04979
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮本 達雄 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (40452627)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 放射線感受性個人差 / ゲノム編集技術 / 疾患モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、我が国の宇宙飛行士の放射線被ばく管理は、国際放射線防護委員会(ICRP)の2007年勧告に準拠している。しかし、現在の被ばく線量限度には、遺伝的な個人差までは考慮されていない。将来的には、放射線感受性の遺伝的な個人差に応じて被ばく線量限度が設定され、より安全な宇宙放射線被ばく管理が期待される。 これまでの疫学研究から、放射線感受性の個人差を規定する遺伝素因として、DNA修復遺伝子の変異や多型が想定される。しかし、放射線感受性は飲酒・喫煙などの生活習慣やヒト集団内の遺伝的背景の多様性などの交絡因子の影響も受けるため、これらの遺伝子変化が放射線感受性に対して与える生物学的影響を明らかにするには高感度かつ定量的な評価系が必要となる。そこで本研究では、均一な遺伝的背景をもつヒト培養細胞や実験動物(マウス)におけるゲノム編集技術と大量染色体画像取得技術を駆使して、放射線感受性遺伝病ヘテロ遺伝子変異が放射線発がんリスクに与える生物学的効果サイズを定量的に評価することを研究目的としている。 2018年度には、遺伝的に放射線感受性の高い人が濃縮しやすい卵巣がん患者の全エクソーム解析により、放射線感受性の遺伝的個人差を規定する候補要因の一つとして、NBS1 I171V多型を同定した。また、ゲノム編集法により作製したNBS1 I171V多型導入HCT116細胞は、放射線照射後の染色体不安定性が亢進することを示した。さらに、ゲノム編集技術を用いて、NBS1 I171V多型導入マウスを作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度には、遺伝的に放射線感受性の高い人が濃縮しやすい卵巣がん患者の全エクソーム解析により、放射線感受性の遺伝的個人差を規定する候補要因の一つとして、NBS1 I171V多型を同定した。また、ゲノム編集法により作製したNBS1 I171V多型導入HCT116細胞は、放射線照射後の微小核形成頻度がコントロール細胞に比べて亢進することを示した。さらに、ゲノム編集技術を用いて、NBS1 I171V多型導入マウスを作製した。NBS1 I171V多型ホモマウスはメンデル則にしたがって、出生し、雌雄ともに生殖能力を有することが示された。 このように、本研究を推進する上で、必須となるNBS1 I171V多型ノックインヒト培養細胞及びノックインマウスを2018年度中に計画通り整備できた。
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Strategy for Future Research Activity |
より短期間で放射線によるNBS1 I171Vノックインマウスの発がんリスクを評価するために、ヒト大腸腺腫症のモデルマウスであるApc min/+マウスを利用する。Apc min/+マウスは、放射線照射後に小腸腫瘍が高率に発症することから、放射線発がんリスクの評価に有用である。そこで、NBS1 I171VノックインマウスとApc min/+マウスを交配させて、Apcmin/+アレルを保有するNBS1 I171Vヘテロ接合体マウスおよびホモ接合体マウスを作製する。 生後2週齢の各マウスに100 mGyの放射線を照射し、その後19週齢まで飼育し、小腸を採取する。採取した小腸をアルカリフォスファターゼで染色して小腸腫瘍数を計測し、放射線による発がんリスクを評価する。
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Research Products
(16 results)