2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of method for irradiating various biological targets with focusing heavy-ion microbeam for space radiation research
Publicly Offered Research
Project Area | "LIVING IN SPACE" - Integral Understanding of life-regulation mechanism from "SPACE" |
Project/Area Number |
18H04991
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
舟山 知夫 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 上席研究員(定常) (40354956)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 宇宙放射線影響 / 高LET / 重イオン / マイクロビーム / 生物照射技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
人類の長期宇宙滞在において憂慮すべきリスク要因である宇宙放射線被曝の正確な影響評価のためには、高LET重イオン照射が生物に及ぼす影響を、量研高崎所の集束式重イオンマイクロビーム装置を用いて明らかにすることを研究の目的とする。研究では、当該装置を用いたハイスループット生物試料照準照射技術を実現するために、ラピッドプロトタイピング技術を用いて、当該装置に最適化した細胞試料調製技術の開発を行い、重イオン1ヒットが細胞にもたらす影響を定量的に解明する技術を確立する。 これまで重イオン細胞照射効果研究で用いられてきたコリメーション式重イオンマイクロビーム装置では、培養シャーレ形状を模した厚みのある照射容器を用いてきた。しかし、集束式重イオンマイクロビームは、ビームを大気に取り出す真空窓の形状がコリメーション式マイクロビーム装置と異なるため、この厚みのある照射容器を用いた照射を行うことができない。そこで、H30年度は、集束式重イオンマイクロビーム装置で細胞の照射を実現するために、細胞試料全体を照射前後で無菌に保ちつつ、集束式重イオンマイクロビームで求められる試料の薄さもクリアすることができる細胞試料調製技術を開発した。調製した細胞試料は、細胞の高速照準照射が実現できるとともに、照射後、細胞を無菌状態で回収し、継続培養を行うことを可能とする。本技術の開発により、集束ビームを用いて細胞を精密に照射し、その経時的な細胞応答の変化を解析することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高LET重イオン照射が生物に及ぼす影響を定量的に評価する実験系の実現に不可欠な、量研高崎研の集束式重イオンマイクロビームで細胞を照射し、回収後に継続的に培養し照射効果を観察することが可能な細胞試料調製技術を確立したことで、おおむね順調に研究成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度の研究で、細胞照射後の継続培養が可能な細胞試料調整技術を実現したことで、集束ビームを用いた重イオンの生物照射効果の解析が可能となった。今後は、複数条件の照射を単一の試料で行うことができる混載試料を開発することで照射のスループットの向上を進めるとともに、細胞への高エネルギー重イオンヒットがヒットした細胞、また、ヒットした細胞の周辺細胞にどのような影響を及ぼすかの解明を進めていく。また、これと並行して小型モデル生物への集束ビーム照射技術の確立を進めることで、高エネルギー重イオンが引き起こす生体影響の評価に繋がる知見の取得を多面的に進めて行く基盤を確立し、宇宙放射線被曝リスクの評価技術の確立につなげていく。
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