2018 Fiscal Year Annual Research Report
Property of visual and material perception under wide luminance range environment
Publicly Offered Research
Project Area | Understanding human recognition of material properties for innovation in SHITSUKAN science and technology |
Project/Area Number |
18H04995
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
栗木 一郎 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (80282838)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 質感 / 広輝度帯域 / HDR / 知覚明度 / コントラスト感度 |
Outline of Annual Research Achievements |
質感知覚における輝度レンジ/コントラストの役割について心理物理学的手法で明らかにする事が本研究の目的である.光沢 の質感へのインパクトは大きく研究も多いが,材質感という視点では,光沢(ハイライト)の輝度より低い輝度レンジに主に手がかりが存在する.素材の表面テクスチャは一般に相互反射で輝度が低い.暗くあるべき部分の輝度が上がり輝度コントラストが低下すると,質感印象は弱まる.輝度コントラストが一元的に質感印象を支配するだろうか?同じ輝度コントラストの画像でも ,平均輝度が低い方に質感印象を強く感じる.視覚的質感知覚の研究にて視覚系の感度の統制は重要だが,(1)視野(画像)全体 の輝度コントラストまたは (2)画像内の相対的な輝度レベルのどちらで視覚系の感度が決まるかを事前に知悉する必要がある.特に 視覚系の順応レベルを注意深く統制し,質感知覚に与える輝度レンジの効果について心理物理学的手法で調べる. 平成30年度は,輝度ダイナミックレンジがコントラスト感度関数の形状に与える影響について明らかにし,国際会議にて発表することができた.最大感度を与える輝度は背景全体の平均輝度付近に存在するが,周辺に示されている輝度要素の範囲すなわち輝度ダイナミックレンジが広がると,コントラスト感度の輝度レベルによる差が小さくなり,広範囲に一定した感度を得る仕組みになっている事がわかった.また,画面上に表示する輝度のダイナミックレンジを操作して,画面内に示された図形の明度知覚を調べる実験を行なった.その結果,輝度ダイナミックレンジの上限は明度知覚に大きい影響を与えた.しかし先行研究と異なり,下限輝度が明度知覚に与える影響は限定的であった.これは,低い輝度レベルの明度感覚は常に保たれていて,表示媒体の下限輝度が十分に低くないと明るく見える黒浮きに対応している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
輝度コントラスト感度関数における輝度ダイナミックレンジの影響を明らかにすることができた.また,輝度ダイナミックレンジが明度知覚に与える影響も明らかになり,閾値付近の現象だけでなく,見え方における知覚的コントラストへの影響を明らかにする事ができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,知覚的コントラストが輝度ダイナミックレンジによって受ける影響が,質感の知覚にどのように影響しているかを心理物理学的に明らかにしていく.その過程で,必要であればヘッドマウントディスプレイ(HMD)などを用いたバーチャルリアリティ環境での研究を行う.
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