2018 Fiscal Year Annual Research Report
耳鳴の脳活動の解明と質感制御
Publicly Offered Research
Project Area | Understanding human recognition of material properties for innovation in SHITSUKAN science and technology |
Project/Area Number |
18H04999
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 宏知 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (90361518)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 聴覚 / 脳 / 耳鳴 |
Outline of Annual Research Achievements |
耳鳴は,主観的・意識的な知覚であり,脳で作り出される.さらに耳鳴が不快な情動を生み出すと,症状を重篤化し,QOLの深刻な低下を招く.本研究の目的は,耳鳴の発生・重篤化の脳内メカニズムを解明したうえで,音提示(音響療法),音学習(行動療法),投薬などにより,耳鳴知覚の質感を変え,症状を改善できる手法を見出すことである. 耳鳴の発生の有力な仮説では,難聴により減少した入力情報を増幅する機序が聴覚経路で働いた結果,増幅された自発活動が耳鳴知覚につながる.そこで本研究では,聴覚野の神経活動同期が増幅機構に関与すると考え,ラットの耳鳴モデルを対象とした神経生理学実験によりこの仮説を検証した. ラットの左耳に125 dB SPL, 10 kHzの純音を1時間曝露し,音響外傷による耳鳴症状を呈するラットを作成した.難聴・耳鳴の行動指標には,プレパルス抑制・ギャップ抑制を用いた.ラットをイソフルランで麻酔し,聴覚野の神経活動を微小電極アレイで計測し,聴覚野の周波数マップと同マップ上の神経活動の同期の変化を調べた.神経活動の同期として,自発活動の局所電場電位 (Local Field Potential; LFP)を計測し,LFP同期度を位相同期度 (Phase Locking Value; PLV) を定量化した.その結果,音響外傷群では,高周波数領域 (>32 kHz) と中周波数領域 (10 kHz) 間のPLVは,統制群よりも大きいことが分かった.また,PLVの増加度は,耳鳴指標の行動指標と相関した.このPLVの変化は,音響外傷に伴う周波数マップの変化とも関連した. これらの結果は,音響外傷により,聴覚経路の周波数マップが変化し,それに伴い,神経活動同期が変化したことを示唆する.この同期の変化が,情報増幅の神経基盤として働き,耳鳴に寄与したと考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,耳鳴の動物モデルを確立し,さらに耳鳴症状に相関する神経活動を同定できた.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り進める.生理実験では,耳鳴知覚に関わる神経反応が,外部からの提示音や音の情動学習,投薬により,どのように変化するかを調べる.さらに行動実験でも,これらの介入により,耳鳴症状や不快感がどのように変化するかを調べる.
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Research Products
(38 results)