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2018 Fiscal Year Annual Research Report

流体状食品のシミュレーションと物性推定

Publicly Offered Research

Project AreaUnderstanding human recognition of material properties for innovation in SHITSUKAN science and technology
Project/Area Number 18H05001
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

楽 詠コウ  東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (30612923)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2020-03-31
Keywords流体状食品 / 質感表現 / 流動特性推定 / 混合体の物性モデル
Outline of Annual Research Achievements

流体状食品には,卵などのタンパク質や糖類の蜂蜜のように,微視的には高分子鎖が絡み合った材質がある.また,背景流体にコロイド状の微粒子が含まれるサスペンション流体等も存在し,これらの物質の巨視的な物性として,シアーシニングなどの効果が現れる.食品ごとに異なる物性を表現するため,今年度は,様々な食品およびその混合体の物性(特に粘性)を統一的に扱うためのモデル構築を行った.
本研究では,まず応力と歪速度との関係を測定できるレオメータを導入し,様々な食品およびその混合体の流動特性を測定した.その結果,ハーシャル-バルクレイモデルによって,混合体も含めてその測定結果を精度よくフィッティングできることが分かった.この結果は,物性の混合モデルとして,ハーシャル-バルクレイモデルのパラメータ空間で閉じたモデルを考えることができることを示唆する.
そこで,次にこの混合モデルの数理モデルを構築するために,まず,材料の弾性特性や粘性などをモデル化したバネ・(降伏応力付き)ダッシュポッド・背景流体などの基本力学素子を組み合わせるという方法での定式化を試みた.しかし,この方法で得られたモデルはハーシャル-バルクレイのパラメータ空間では閉じないという問題があった.
次に,混合において物性パラメータが満たして欲しい公理系を定めた上で,混合演算子の関数系に関する考察を行うというアプローチをとった.その結果,この関数系は,ある可逆写像Fによって物性パラメータを変換し,変換された空間内で線形混合を行い,その結果をFの逆像で元の物性パラメータ空間に写す,という形で書けることが分かった.そこで続いて,様々な混合体について,混合比を変えた場合の応力と歪速度との関係を測定し,その結果からFを推定するというデータ駆動型アプローチをとった.この方法によって得られた混合モデルは,定性的に混合の様子をよく表現できることが分かった.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

混合体の物性表現モデルを得られたので,当初の目標を達成している.その過程で行き着いた,公理系から出発して混合の関数系を考えるというアプローチは強力であり,混合の関数系の仮定と制約に関する議論の透明性を高めるのに役立つことが分かった.得られたモデルは,蜂蜜とマヨネーズの混合体のように,(ある歪速度の範囲内では)混合体の方が単体よりも実効粘性が低くなるような,直感に反する現象をも表現できる.本研究で得られたモデルにより,質感表現において,単体の物性測定だけで,様々な混合体を表現できるようになったので,食品の調理などのように,混合比を動的に変化させながら混ぜるといった場合の写実的な質感表現の道を切り拓くことができた.
この研究の成果は,コンピュータグラフィックスのトップカンファレンスである SIGGRAPH 2019 に採択された.

Strategy for Future Research Activity

混合体を含む様々な食品を統一的に扱うための物性モデルを構築できたので,次は映像からの物性推定について取り組む予定である.具体的には,物性が未知の対象食品の流動性をハーシャル-バルクレイモデルと仮定してそのパラメータを当てる,という問題として捉えることを考えている.その方法として,機械学習に基づく方法と,物理シミュレーションに基づく最適化を検討している.

  • Research Products

    (5 results)

All 2019 2018 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (3 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Mixing Sauces: A Viscosity Blending Model for Shear Thinning Fluids2019

    • Author(s)
      Kentaro Nagasawa, Takayuki Suzuki, Ryohei Seto, Masato Okada, Yonghao Yue
    • Journal Title

      ACM Transactions on Graphics

      Volume: 38(4) Pages: 95:1-17

    • DOI

      10.1145/3306346.3322947

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 混合された流動性食品の映像表現のための非線形混合則のモデリングと連続体シミュレーション2019

    • Author(s)
      永澤 謙太郎, 鈴木 貴如, 瀬戸 亮平, 岡田 真人, 楽 詠コウ
    • Organizer
      情報処理学会 第81回全国大会
  • [Presentation] 非ニュートン流体の混合体の現象論的なモデリングと連続体シミュレーション2019

    • Author(s)
      永澤 謙太郎, 鈴木 貴如, 瀬戸 亮平, 岡田 真人, 楽 詠コウ
    • Organizer
      日本物理学会 2019年春季大会 領域11
  • [Presentation] ソースの混合体の表現法の検討2018

    • Author(s)
      永澤 謙太郎, 瀬戸 亮平, 岡田 真人, 楽 詠コウ
    • Organizer
      画像電子学会 VCワークショップ 2018
  • [Remarks] Mixing Sauces

    • URL

      http://mns.k.u-tokyo.ac.jp/~yonghao/siga18/abstsiga18.html

URL: 

Published: 2019-12-27  

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