2018 Fiscal Year Annual Research Report
腸損傷後の再生起点細胞の同定と関連炎症細胞社会ネットワークの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Preventive medicine through inflammation cellular sociology |
Project/Area Number |
18H05028
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
樗木 俊聡 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (50233200)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腸再生起点細胞 / 腸上皮幹細胞 / 分泌前駆細胞 / 腸損傷 / 放射線照射 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸損傷後、細胞周期上静止期にある陰窩底部から4番目の腸上皮幹細胞ISC(+4 ISC)だけでなく、分泌前駆細胞や吸収前駆細胞など複数の細胞種が同時にISCプール復活に貢献し得ることが報告されているが、貢献度の軽重は不明である。平成30年度は、腸損傷後のISCプール再生を担う起源細胞の全体像解明とsingle cell qRT-PCR解析による起点細胞分画の絞り込み目的として研究を遂行した。ISCを運命追跡が可能なLgr5ki:Rosa tdTomatoマウス、分泌前駆細胞の運命追跡が可能なAtoh1-CrePGR:Rosa tdTomatoマウスに Cre誘導剤を投与後、10G放射線を照射により腸損傷を誘導し、14日後に再生したISCの起源細胞を解析したところ、大部分がISC由来であり分泌前駆細胞由来ISCはほとんど存在しなかった。この結果に基づき、Lgr5ki:Rosa tdTomatoマウス放射線照射二日後の損傷ピーク時に生存しているtdTomato+細胞(ISCを起源とする細胞)を用いて、single cell qRT-PCRを用いて、ISC/増殖関連遺伝子、YAP標的遺伝子、分泌前駆細胞関連遺伝子の解析を行った。その結果、4つのクラスターに分類されること、2つのクラスターでISC/増殖関連遺伝子が高発現していること、うち1つはYAP標的遺伝子も高く発現していることが判明した。そこで、YAP標的遺伝子Ly6cにコードされる表面分子Sca1の発現を指標に、Sca1+およびSca1- tdTomato+細胞を精製してオルガノイド培養を行ったところ、Sca1-で有意に高いオルガノイド形成能をした。現在、再生起点細胞が濃縮されているSca1- tdTomato+分画を用いてsingle cell RNA-seqを行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度のマイルストーンはsingle cell RNA-seq終了であったが、その前段階としてsingle cell qRT-PCRを用いたプレスクリーニングを行ったため予定が少し遅れた。一方、この解析によってYAP標的遺伝子群の発現が低い分画に幹細胞性が高い=再生起点候補細胞が濃縮していることが判明し、この細胞分画に絞ってsingle cell RNA-seqを行うことが可能になった。これらの研究経緯、進捗を踏まえ、概ね順調に進展している、と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中のsingle cell RNA-seqの解析結果に基づき、主要な再生起点細胞分画をさらに絞り込みたい。理想的には細胞表面マーカーを同定して、放射線照射二日後の損傷ピーク時に生存している腸上皮細胞から、さらには放射線照射前の定常状態腸上皮組織から、当該起点細胞分画を精製d系る技術開発を目指したい。さらにそれら再生起点細胞に作用して増殖・分化を促す因子および同因子を産生する周辺炎症細胞社会の全体像を明らかにしたい。
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