2018 Fiscal Year Annual Research Report
単一細胞シークエンスデータを用いたネットワーク分析モデルと高速化技術
Publicly Offered Research
Project Area | Preventive medicine through inflammation cellular sociology |
Project/Area Number |
18H05031
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浅野 泰仁 京都大学, 情報学研究科, 特定准教授 (20361157)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 単一細胞シークエンス / 遺伝子 / 相関ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,未病のメカニズムを解明するために,単一細胞シークエンスデータに基づいて炎症のプロセスを遺伝子変異等の「細胞社会ネットワーク」としてモデル化して分析することを目的としている.平成30年度は,計画班によって取得された,マウスの炎症進行に伴う複数の時点での単一細胞シークエンスデータを用いて,Smita Krishnaswamyらによって提案・開発された単一細胞シークエンスデータの細胞ごとの遺伝子発現量データを補完する技術であるMAGIC(Markov Affinity-based Graph Imputation of Cells)を適用した後に遺伝子間の相関を計算することで,遺伝子相関ネットワークの作成手法を提案した.さらに,得られた遺伝子相関ネットワークの可視化を行った結果,炎症の進行に応じて遺伝子間の相関が大きく変化していることを明らかにした. また,得られたデータを高速に分析するために,本予算で購入したDeepLearning用の計算機等で動作する機械学習手法として,機械翻訳等に用いられ,遺伝子等の系列データを扱うのに適切であると考えられるEncoder-Decoder深層学習モデルの中でも平成30年度現在最新のモデルであるAttention2Dを用いてメタデータ間の関係分析を行う手法を構築した.この手法は,現時点でのデータの不足から単一細胞シークエンスデータには適用できていないが,漫画の脚本のメタデータと対応する構図のメタデータの関係を学習する実験を行い,脚本メタデータから,ある程度人間の評価に耐えうる構図メタデータを推薦できることを確認した.本手法はこのメタデータのみならず,上記のように細胞や遺伝子等の,特に時系列的データの学習に活用できると考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,研究において重要になると考えられる,遺伝子相関ネットワークの構築手法を計画班が取得したデータに基づいて提案することができた.したがって計画は概ね順調に進行していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究を行った結果,エビデンスに基づく成果を得るにはデータが不十分であることと,遺伝子相関ネットワークの変化を分析する手法が不足しているということが明らかになった.この知見に基づいて,本年度の予算でさらに多くのデータを取得するとともに,現在使用している1細胞シークエンスデータの補完を行うMAGICだけでなく,1時点の細胞データから擬似的に複数時点の細胞データを検出する手法であるmonocle等も用いて,1時点における細胞群内の炎症の進行程度に応じた分類をした上で遺伝子相関ネットワークの変化を分析する手法を考案する予定である. また,分析の高速化については機械学習の手法においては検討ができたが,上記のようにネットワークの高速分析手法については分析手法がまだ確立していないため,今年度は機械学習手法の高速化を実現する予定である.
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