2018 Fiscal Year Annual Research Report
Integrated description of the effect of cancer cell-dependent inflammation on the whole body
Publicly Offered Research
Project Area | Preventive medicine through inflammation cellular sociology |
Project/Area Number |
18H05037
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
弓本 佳苗 九州大学, 生体防御医学研究所, 特任助教 (30596838)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 前転移ニッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症反応は本来、生体防御機構の一つであるが、がんの進行に関しては悪性化の促進に関与するという有害な側面を持っている。がん細胞依存性の炎症は原発組織のみならず血流を介して全身の臓器に影響を及ぼすが、その具体的な機序については未解明な部分が多い。特に、がん原発 から産生された液性因子は、がん細胞が生着・増殖しやすいように“前転移ニッチ”を形成する。しかし、がん転移の臓器指向性がどのように決定されているかは未だ不明の点が残されている。 われわれはまず前転移ニッチのマウスモデル系の作製に取り組んだ。EGFPラベルをしたルイス肺がん細胞を皮下移植して前転移ニッチを形成させ、tdTomatoラベルしたルイス肺がん細胞を尾静脈移植して肺への転移が亢進するかを確認した。その結果、尾静脈移植された腫瘍の転移の促進が見られた以前の報告と異なり、われわれの実験では、転移の促進どころか、むしろ転移の抑制が見られる結果となった。 がん細胞が出すどのようなシナル分子が前転移ニッチを形成するかを検証するため、がん培養上清を静脈移植して前転移ニッチ形成をミミックしたのち、tdTomatoラベルしたルイス肺がん細胞を尾静脈移植した系においても、がん転移は促進されるどころかむしろ抑制される結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
過去の論文を参考に前転移ニッチ形成モデルを作成しようとしたが、2つの系においてともに真逆の結果が得られた。もし本当ならば、この結果は前転移ニッチというよりむしろ、転移抑制ニッチを形成していることを示唆しており、実験仮設の転換の必要性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の実験の再現性をとり、もし転移抑制因子が仮定されれば、その因子のスクリーニングを行う。具体的には、上述のがん細胞培養上清にどのようなものが含まれているかをMSにより解析すると共に、様々ながん細胞の培養上清で同じような結果が得られるかを検証する。がん細胞により転移する臓器が異なる「臓器指向性」の検証系として、大きく期待できる。また、骨髄移植により骨髄細胞をEGFPラベルしたマウスを用いて、どのようなニッチが形成されているかをシングルセルRNA-seqにより検証する。
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