2018 Fiscal Year Annual Research Report
Improvement of the surface flux scheme and its impact on estimation of the surface mass budget of Antarctic ice sheet
Publicly Offered Research
Project Area | Giant reservoirs of heat/water/material : Global environmental changes driven by the Southern Ocean and the Antarctic Ice Sheet |
Project/Area Number |
18H05055
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
西澤 誠也 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 研究員 (40447892)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地表面フラックススキーム / 数値計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
氷床の増減量を考える上で表面における昇華量の推定は最も重要な要素の一つであるが、南極のような静的に強安定な場ではその見積もりは非常に難しい。 地表面に近い接地境界層では、風速や温度は対数に近い鉛直プロファイルとなる。シミュレーションモデルで地表面フラックスを見積る際は、モデル最下層の値から鉛直プロファイルを見積る。ほとんどすべての大気モデルでは、モデル内の予報変数は層内の平均値であるが、地表面フラックスを見積る際は、その層平均値を層の中心高度における点での値であると仮定している。地表面付近では鉛直プロファイルは対数に近いプロファイルであるため、平均値と中心高度における値には大きな差が存在する。その結果、見積もられたフラックスには大きな誤差が含まれている。そこで本研究では、相似則により与えられる鉛直プロファイルの式を鉛直平均することにより、層平均値を使って鉛直プロファイルおよび地表面フラックスを見積る手法の開発を行った。 また、開発したスキームの検証として、ラージエディーシミュレーションモデルを用いた大気境界層乱流実験を行った。その結果、従来のスキームには数%程度地表面フラックスが過小評価されていることを明らかにするとともに、新しいスキームは数値的収束性が良いことを示した。本スキームと従来のスキームの数値的なコストはほとんど違いがなく、追加的なコストなしに数値シミュレーションの精度向上を達成することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、新しい地表面フラックススキームの開発に成功し、その有効性の検証を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、本年度開発した地表面フラックススキームを用いて、南極域の境界層の高解像度数値実験を行う。 現在、実験ターゲット領域について、計画研究A04モデル班と議論を行っているところである。 また、当初の計画にはなかったが、計画研究A02氷床班の観測結果との整合性についても議論を行う予定である。
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Research Products
(2 results)