2018 Fiscal Year Annual Research Report
Neural bases for hierarchy of human language: a clinical approach
Publicly Offered Research
Project Area | Studies of Language Evolution for Co-creative Human Communication |
Project/Area Number |
18H05058
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 匡子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (20271934)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 失語症 / 原発性進行性失語症 / てんかん |
Outline of Annual Research Achievements |
言語の階層性を知るために、局所脳損傷患者、原発性進行性失語症患者、てんかん患者の言語機能の障害とその神経基盤について研究を進めた。 まず、局所脳損傷患者において、言語の発話、聴覚性理解、呼称、復唱、読字、書字の機能について系統的に詳細な検討を行った。その結果、失語症でみられる特徴的な症状についての神経基盤の一端が明らかになった。語彙化錯読、失構音(発語失行)においては細分類毎に対応する脳部位が異なることが分かった。また、限局した局所脳損傷により、仮名単語の読みが保たれ、仮名一文字の読みに顕著な障害が生じる例を見いだし、両者の読みの神経メカニズムは一部で異なっていることが推測された。また、単語の聴覚性理解が保たれ、語彙判断に障害がある症例から、理解の前段階として語彙判断が必須ではないことが明らかになった。 原発性進行性失語症においては、失語型と神経変性部位との関連を検討した。原発性進行性失語症の中で、非流暢性/失文法型、意味型は原因疾患として前頭側頭葉変性症が多く、ロゴペニック型はアルツハイマー型認知症が多いことが知られている。レビ-小体型認知症を背景に原発性進行性失語症を呈した症例を見いだし、その特徴と機能低下部位について検討した。また、本領域で言語進化との関連で議論されている道具使用について、アルツハイマー型認知症で検討し、道具の使用障害にも様々な階層性があることが分かった。 難治性てんかん患者においては、選択性Wada testによる各言語機能に関連する領域の同定を行い、左側頭葉を中心とした脳炎後の症例で言語領野の分布が通常と異なることが分かった。 以上、脳損傷患者で障害されている言語の階層と損傷部位について詳細に検討することにより、言語の階層の成り立ちとその神経基盤の一端を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
局所脳損傷患者、原発性進行性失語症患者、難治性てんかん患者について、個々人における言語機能障害とその神経基盤についての検討は予定通り進んでいる。 原発性進行性失語症患者は、東北大学病院高次脳機能障害科において言語機能の精査、神経放射線学的検索を施行し、各症例における言語障害の特徴と対応する神経変性部位の検討を進めている。 難治性てんかん患者については、てんかん科および脳神経外科と連携して、術前の言語機能評価、選択的Wada testによる言語関連領野の同定、留置硬膜下電極による皮質電気刺激を用いた言語マッピングを順次行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はこれまで同様に原発性進行性失語症患者、難治性てんかん患者についてデータを収集すると共に、データの整理、統合を行って言語の階層性の神経基盤について解析を進めていく。 原発性進行性失語症患者、難治性てんかん患者ともほぼ予定通り、データの収集は行えており、基礎となるデータの整理などを並行して進めていく必要がある。特にてんかん科、脳神経外科と共同で進めている難治性てんかん患者については、非常に多くの種類のデータがあるため、どのように活用するか合同で整理、検討を行う。
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Research Products
(14 results)