2018 Fiscal Year Annual Research Report
実験室の言語進化と理論言語学をつなぐ新造語の研究
Publicly Offered Research
Project Area | Studies of Language Evolution for Co-creative Human Communication |
Project/Area Number |
18H05062
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
宇野 良子 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40396833)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 創造性 / 新造語 / 実験記号論 / 言語進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
自然言語には、新しい物事を指すラベルとしてではなく、「遊び心」によって創られる新造語も多い。本研究は、このような「遊び心」から創られ、通常の語彙のシステム(心的辞書)に入ることなく、その周辺で次々創られては消えていく新造語は人間言語の特徴であるとみなす。そして、そのような新造語をつくる人間の能力が言語進化に果たした役割を研究する。今年度は特に、新造語の意味共有度に着目した。手法としては、自然言語の認知言語学的分析とコミュニケーション実験を通じて人工言語の創発を観察する実験記号論的アプローチを用いる。この二つの手法をつなぐため、アート・デザイン・数学など、言語以外でみられる人間の創造性を分析対象とすることも試みた。その結果を論文や学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、期間内に以下の3点を行うことを目指す。(1)2009年と2018年のデータの比較による新動詞の生成・受容・意味変化のパターンの抽出(2)実験記号論による「遊び心」による新造語がコミュニケーションで生成・受容されるしくみの解明(3)「心的辞書の周辺の代謝」についての理論とモデルの構築。(1)については、本年度はデータの分類をし、二つの年度の新造語の意味共有度を比較をするところまで進んだ。パターンの抽出は次年度に行うこととなる。(2)については、通常の実験記号論とは異なり、すでに存在する人間の創造活動に実験記号論的手法を応用する形ですすめた。結果として、予想以上の成果を得ることができた。(3)については初年度は予定通り理論構築の準備として先行研究のリサーチを行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、このような意味共有度の低い語によって、具体的な意味ではなく、視点が共有されることが言語の文法構造の創発には必要であるという可能性について、認知言語学的観点から理論的研究をすすめる。
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Research Products
(3 results)