2018 Fiscal Year Annual Research Report
A biolinguistic approach to multicompetence
Publicly Offered Research
Project Area | Studies of Language Evolution for Co-creative Human Communication |
Project/Area Number |
18H05065
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
尾島 司郎 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (40404959)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 多言語能力 / 生物言語学 / 神経言語学 / 進化言語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は二つの研究領域、多言語能力と生物言語学の融合を試み、「多言語能力の生物言語学」を創出することを目指す。多言語能力とは、一つの心・脳の中にある複数の言語能力のことである。生物言語学とは生物学的な視点や手法を用いる学際的な言語研究の総称である。生物言語学研究では近年、言語の脳内メカニズムの研究と、言語進化(人類進化における言語の系統発生)の研究が増えてきている。しかしながら、生物言語学研究がこれまで主要な研究対象としてきたのは多言語能力ではなく、単一言語能力である。脳内メカニズムの研究においては多言語能力対象のものも盛んになってきたが、進化の研究は依然として多言語能力を対象に収めていない。本研究は、生物言語学で行われている種々の研究を多言語能力に拡張することを目指すとともに、特に多言語能力が人類においてどのように進化(発生)したのかを探る。そのために、まずは生成文法や認知言語学の知見や新学術領域「共創言語進化」の計画研究(特にA01班)を参考にし、現代人の多言語能力の理論的モデルの構築を試みた。さらに、多言語能力が人間の脳にどのように実現されているのかについて、事象関連脳電位(ERP)や核磁気共鳴画像法(fMRI)による脳機能計測研究を参照し、多言語能力の生物学的基盤・脳内基盤の特徴付けを行った。通常、言語能力の進化は、言語能力の抽象的な理論的モデルをもとに考えるが、本研究では生物言語学的な特色をより強く打ち出すために、抽象化された理論モデルではなく具体的な脳内基盤がどのように進化・発生したのかを追及することにした。その上で「共創言語進化」で言語の生物学的基盤を担当している研究者らと意見交換しながら、多言語脳の進化・発生に関するいくつかの仮説を立てた。今後はそれらの仮説を検証していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在の所属機関に赴任してから、実験環境や研究時間の確保の面でまだ理想的な研究体制を確立できておらず、自分としては理想的な進展だとは思ってない。
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Strategy for Future Research Activity |
「共創言語進化」の関係者の中で、自分とは違う専門性を持つ研究者と交流し、多言語能力の脳内基盤の進化に関する仮説を検証していく。また、「共創言語進化」のグループの外にも協力者を見つけ、複数の視点から研究を進めたい。必要に応じて行動実験もしくは脳科学的実験を行う。
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Research Products
(4 results)