2018 Fiscal Year Annual Research Report
Neural Basis in voice processing to convey the comunication intention
Publicly Offered Research
Project Area | Studies of Language Evolution for Co-creative Human Communication |
Project/Area Number |
18H05067
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉村 優子 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (70597070)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脳磁図 / 意図共有 / 聴覚反応 / 自閉スペクトラム症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新学術領域研究「共創的コミュニケーションの言語進化学」で取り組む意図共有と階層性の関係性の解明の中で、特に意図共有に関わる音声を聞いた際に引き起こされる大脳皮質の反応を、定型発達児と自閉スペクトラム症児を対象に、幼児用脳磁計(Magnetoencephalography、MEG)により捉えることを目的とする。幼児期のコミュニケーションに関連する音声処理における脳内基盤を解明し、行動学的な言語発達、認知発達との関連を解明することを目的とする。平成30年度の成果として、5名の定型発達児において、0歳から3歳までの人の声に対する脳反応の縦断的な変化を捉えた。聴覚刺激によって誘発される刺激提示後約100ms後の反応(P1m)は、著者らの先行研究において、言語能力との関連を報告している。人の声「ね」によって引き起こされるP1m成分について着目し、縦断的な変化を調べた結果、P1mは生後2ヶ月から顕著に現れる成分であり、2ヶ月から3歳まで一貫して出現していることが明らかとなった。またP1mの潜時については、2ヶ月の段階では刺激呈示後200ms以降に反応のピークがみられるが、月齢が大きくなるにつれて潜時が短くなることが明らかとなった。また、自閉スペクトラム症児の人の声に対する聴覚野の反応が定型発達児と比較して乏しいという結果を踏まえ、共同研究によって自閉スペクトラム症児の会話分析を実施した。その結果、自閉スペクトラム症児は他者との会話の中で、共感を得たり、注意を引くための音声「ね」を使用せず、同年齢の会話サンプルと比較すると明らかに異なっていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
参加者のリクルート及び実験の遂行は問題なく進んでいるため、概ね順調に進展していると考えられる。また今年度までに得られたデータについて、学会発表や論文化をすすめている。さらに参加者を増やすことにより、定型発達児と自閉スペクトラム症児の脳反応の相違に関して知見を深めていくことができると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度と同様に、参加者のリクルート、実験の遂行を継続する。領域会議等で他領域の研究者との議論を通して、共同研究に取り組む。
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