2018 Fiscal Year Annual Research Report
Evolution of Humanity: Revealing relationships between a population history, language, and music
Publicly Offered Research
Project Area | Studies of Language Evolution for Co-creative Human Communication |
Project/Area Number |
18H05080
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松前 ひろみ 東海大学, 医学部, 助教 (00735681)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 人類学 / 文化進化 / 言語進化 / 音楽進化 / 遺伝人類学 / 言語多様性 / 北東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
言語と音楽はヒトらしさを象徴する非生物学的特徴で、いずれもMerge(併合)と呼ばれるヒトに特有の演算操作から生み出されると考えられている。現在知られているだけでも、ヒトの言語は7000以上あると言われている。そうした言語の多様性が生み出される過程や、多言語の共通性はどこまで遡れるのか、その進化様式についての解明を目的として、人類集団史と文化進化の立場から研究を行っている。 まず、言語と民族史を対比させる研究を行った。世界の中でも言語の多様性が高い地域の一つである北東アジアをケーススタディとして10言語族を選択し、データベース上にある言語の三つの要素(語彙・文法・音素)の類似性をそれぞれ計算し、遺伝的系統、民族音楽の類似性と比較解析を行った。これらの関係性に統計的に相関があるかを、民族・言語の空間距離の補正をいれた冗長性解析によって分析した。その結果、民族の遺伝的な関係は文法の類似性で高い割合(0.82)で説明しうるが、文法的類似性は遺伝的系統をもう少し低い割合(0.52)で反映していた。このことから北東アジアでは言語の文法と民族の遺伝的歴史に非対称性が生じていることが分かった。これは言語、特に文法が民族の遺伝的進化とは異なる独自の進化をしている可能性が考えられた。この成果は、英文国際誌に論文投稿中の他、国内外の学会にて発表、また横浜市立大学にて新学術とチューリヒ大学の共催で、言語進化と人類進化に関する国際ワークショップを企画し議論を深めた。アジアのみならず、南米の言語史と民族史の関係についても知見を得た。 次に我々は文法要素ごとにどのような進化が起きているか、文法の文化進化に着目している。文法のデータ解析手法はこれまで存在しなかったため、機械学習の手法を用いて、文法の分析手法を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新学術領域に参加することにより、言語学からモデル研究まで幅広い分野の専門家から助言を受け、言語や音楽進化についての仮説をブラッシュアップできた。H30年度予定していた、言語進化のデータ解析手法の構築には目処が立った。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に構築したデータ解析手法を用いて、実際の文法の多様性を分析し、人類の言語が多様性を持ちながらも、階層性と意図共有を可能にしているメカニズムを明らかにしたい。また、引き続き、言語進化と人類進化を対比させる研究を行い、孤立言語の進化的特性を明らかにしていく。
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[Journal Article] Jomon genome sheds light on East Asian population history2019
Author(s)
Matsumae H*†, Savage PE*†, Ranacher P†, Blasi DE*, Currie TE, Sato T, Tajima A, Brown S, Stoneking M,Shimizu KK, Oota H*, Bickel B
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Journal Title
BioRxiv
Volume: -
Pages: -
DOI
Open Access / Int'l Joint Research
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