2018 Fiscal Year Annual Research Report
感覚から記号、記号体系へ:触知覚語における習得及び喪失過程の実験的検討
Publicly Offered Research
Project Area | Studies of Language Evolution for Co-creative Human Communication |
Project/Area Number |
18H05084
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今井 むつみ 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 教授 (60255601)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 触知覚 / 記号接地 |
Outline of Annual Research Achievements |
H30年度は3~7歳(平均60.72ヶ月)の男児17名・女児17名を対象とし、触覚調査を実施した。具体的には、中身が見えない箱の中に手を入れてもらい、7種類(人工芝、滑り止め2種類、和紙、スポンジ、発泡スチロール、冷やした銅板)の素材について触り心地を自分の言葉で伝えるよう教示した。この際、箱の中に赤外線カメラを設置し、触行動そのものもデータとして、収集した。なお、この産出課題は、触知覚を子どもがどのように表現しようとするかを確かめるための予備的な位置づけとして行った。この結果、人工芝などの特有のオノマトペ「チクチク」のある素材については、こうした特定のオノマトペが年齢とともに回答されることが分かった。また、スポンジや発泡スチロールについては、引っぱったり・さすったりする触り方と、押して凹ませる触り方との違いによって、素材の表面に関して表現するか内部の弾力について表現するのかが異なることも明らかとなり、素材の特性に沿った表現が産出されることも分かった。さらに、素材の冷温については、他の素材とは大きく異なり、「冷蔵庫の中みたい」「銀色のもの」といった直喩・隠喩を用いた比喩表現が頻出し、素材の材質への言及もみられた。このように、触知覚語の獲得過程は、対象物体のみならず、その物体にどのように幼児が働きかけるのかが重要であることが明らかとなった。翌年度は引き続き、触覚行動と触覚表現の関連について調査を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H30年度に予備調査を終え、次年度に本調査を実施する目途がたっており、触行動についてのデータも収集済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
多言語における触知覚に関するデータも収集中であり、次年度はデータ分析を進める予定である。
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