2019 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの言語進化と法進化の連動性研究:言語・道徳・法の進化と実証的「神経法学」
Publicly Offered Research
Project Area | Studies of Language Evolution for Co-creative Human Communication |
Project/Area Number |
18H05085
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
和田 幹彦 法政大学, 法学部, 教授 (10261942)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 法の進化 / コンピューターシミュレーション / 進化言語学 / 動物行動学 / 進化生物学 / 文化進化論 / 文化人類学 / 言語人類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
和田幹彦「律する」『進化でわかる人間行動の事典』2021年で公刊した通り、「法の進化」に言及しない多くの先行研究を「その解明の一端である」と新たに位置づけることにより、「法の進化」の総説を初めて提示した。 法の定義は前年度から一部修正し「音声・文字言語を前提としない」と明言、定義中のabcdは同じながら「e. 介入行動が行われる(第3者罰行動もあり得る)」ことにより、「違反者を集団規範遵守に立ち戻らせる行動を伴う集団規範の強化機能」と緻密化した。 その上で、e.介入・罰行動を伴う法[以下:法行動]をめぐり、動物行動の解明の際に要求される「ティンバーゲンの4つの『なぜ』」に答える先行研究の新解釈を提示した。即ち法行動について:1)機能(究極要因):集団規範の強化と結論づけ;2)進化史(系統進化要因):これを解明すべくコンピューターシミュレーション(CS)を提唱(後述);その一方で飼育下のチンパンジー(Suchak & de Waal 2016)に例外的に観察される進化上の「法の先駆型」を新たに同定し、言語無しで法が進化しうる可能性を初めて論証した;3)しくみ(至近要因):ヒトの第3者罰の神経基盤 (Krueger & Hoffman 2016)が該当することを明言;4)獲得(発達要因):ヒト3歳児に「第3者介入」(Riedl et al 2015)、6歳児には「第3者罰」行動が観察される(McAuliffe et al 2015)ことこそ発達上の「法の先駆型」との新解釈を提示、「法の完成型」への移行研究への道筋を明示した。 研究協力者:髙橋拓也・和田は法の「進化史」を解明するCSを「文化的集団淘汰モデル」に基づき構成を終えて学会発表も行った。土田まどかはインドネシア・ブンカラ村での1年間の現地調査に基づき、ろう者と聴者間の手話による言語と歌の関係性につき論文公刊・学会発表を行った。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Remarks |
海外研究協力者Dr.Marco Campenni(University of Exeter,文化進化論)は「規範の進化史」解明をコンピューターシミュレーション(CS)で試み(2014)、2016年以来の和田の共同研究者。本研究でも研究協力者の高橋拓也がCS構成時に協力を受けた。高橋は2019年、Campenniを訪れ高度なCS技術を教授された。三者は共同研究で既に新たなCSの設計を構成している。
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Research Products
(22 results)