2018 Fiscal Year Annual Research Report
Brain mechanisms of prosociality as a pre-linguistic competence in non-human primates
Publicly Offered Research
Project Area | Studies of Language Evolution for Co-creative Human Communication |
Project/Area Number |
18H05090
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
横山 ちひろ 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (90264754)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 向社会行動 / 非ヒト霊長類 / 脳機能イメージング / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの言語の特徴は、階層性と意図共有による共創的なコミュニケーションにあると考えられている。それらはヒトの言語と動物のコミュニケーションを分かつものとして重要であると同時に、動物が示す萌芽的能力は言語の起源・進化の理解に役立つ。特にその神経科学基盤を明らかにすることは、ヒト言語との差異や連続性の実証的知見につながる。小型霊長類の一種であるコモンマーモセットは、自発的に他者の利益を増大させる行為(向社会行動)を示すことが知られている(Burkart et al, 2007)。マーモセットの自発的な向社会行動は、チンパンジー等で見られる要求行動や不平等回避に基づく選択的向社会行動(Yamamoto et al 2009)とは異なり、共同繁殖という利益の共有を容易にする相互依存性の高い社会構造に起因すると考えられている(Brugger et al, 2018, Burkart et al, 2014)。これはヒトの持つ「意図共有」に最も近い心理学的要因として注目される。ヒトの向社会行動の文脈においては、「意図共有」に対応すると考えられる外在する誘因としての利己的動機と内在する信頼や同情からの利他的動機が存在し、それぞれ別の神経基盤が関与していることが示唆されている。本研究の目的は、マーモセットの自発的な向社会行動を支える神経回路を探索することにある。ヒトの向社会行動に係る神経回路と比較するために、ヒトと同一の方法論である脳機能イメージングを用いる。本年度は、マーモセット向社会行動についての基礎的検討および世界標準のヒトMRI脳画像解析法(Grasser et al 2017)をマーモセットに適用するため解析パイプラインの技術基盤の構築を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
向社会行動評価のため、液体報酬とタッチパネルを装備する二つの課題ケージ(Yamazaki et al, 2014)を二つ並べ間に透明度板を使用した課題の初期訓練にかかる時間に個体差があったため、本年度は8頭のマーモセットの初期訓練を終了したものの向社会性を評価するまでには至らなかった。脳構造・機能画像評価のため、イソフルラン浅麻酔下(1%)におけるマーモセットの高解像度脳構造MRIおよび安静時機能MRIデータ(50頭分)から非ヒト霊長類MRI画像の解析パイプラインによる画像処理はほぼ終了したが、個々のデータチェックに時間を要している。この作業によるパイプラインの最適化が今後のデータ解析の効率化に生かされる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中の、向社会性行動評価、脳構造、機能画像、安静時機能結合についてデータ収集・解析を進め、行動―脳構造・脳機能関連を調査する。また、覚醒下MRI撮像にむけて装置の作成および動物の訓練を行い、課題中MRI実験の準備を進める。
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Research Products
(1 results)