2018 Fiscal Year Annual Research Report
細胞社会をつなぐ血管内皮細胞のダイバーシティー獲得機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Integrated analysis and regulation of cellular diversity |
Project/Area Number |
18H05092
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
樋田 京子 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (40399952)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腫瘍血管内皮細胞 / 多様性 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は各種がん細胞による血管内皮細胞への多様性誘導機構の解析を行った。 異なる形質をもつ各種がん細胞(例:がん幹細胞と非がん幹細胞やEMT誘導前のがん細胞と誘導後のがん細胞など)と血管内皮細胞間の作用を解析し、がんの形質の違いがもたらす血管内皮細胞への形質変化の違いやEMT誘導の有無による血管内皮細胞への作用の違いを調べた。 血管内皮細胞への影響については、共培養の系を用いて解析し、レンチウイルスベクターを用いて血管内皮へGFP、腫瘍細胞にDsREDを導入し、2者を異なる蛍光で標識し識別し解析した。さらに異なるがん細胞から血管内皮細胞への影響については細胞遊走や形態変化をみた。 また、がん幹細胞の割合の高いがんと低いがんなどからも腫瘍血管内皮を分離し、その遺伝子発現を比較した.悪性度の高いがん幹細胞の割合の高い癌においては血管内皮細胞が分泌するDAMPsのひとつbiglycanの発現レベルが高く, 周囲細胞の炎症性変化を誘導している所見が得られた. また,Biglycanのプロモーター領域が腫瘍血管において脱メチル化されていることをすでに報告しているためその他の腫瘍血管内皮細胞において発現亢進している遺伝子Xについても解析した.腫瘍血管内皮細胞において本分子のプロモーターも脱メチル化されていることを示唆する知見を得た。腫瘍血管内皮における遺伝子Xの機能解析としては血管周囲へのM2マクロファージの動員の促進.骨髄由来抑制細胞の遊走促進に働くことなどが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年秋には震災・ブラックアウトによる停電の影響もあり研究におくれが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍血管内皮細胞を組織から分離するのみではなく、組織切片を用いたレーザーマイクロダイセクションによる血管内皮細胞の単離もすすめin vivo における多様性の解析も行う予定である。
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