2018 Fiscal Year Annual Research Report
Systematic analysis for cellular diversity formation in epithelial tissues by regulators of EMT/MET
Publicly Offered Research
Project Area | Integrated analysis and regulation of cellular diversity |
Project/Area Number |
18H05106
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
渡邉 和秀 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 上級研究員 (40749397)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Perturb-seq / 乳腺上皮細胞 / 上皮間葉移行 / 間葉上皮移行 / 組織多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮・間葉細胞間の「Transdifferentiation」である上皮間葉移行(EMT)と間葉上皮移行(MET)は組織発生の過程で細胞系列のダイバーシティーを形成するメカニズムとして重要である。本研究の目的は、最近開発された画期的な機能的スクリーニング法(Perturb-seq法)を用いて、乳腺組織形成の過程において細胞のダイバーシティーを獲得していく際のEMT/MET制御因子の役割を系統的に理解することである。 現在まで細胞株を用いたPerturb-seq法のシステムの条件検討、およびリファレンスデータとしてマウスの正常乳腺上皮細胞のシングルセルRNA-seqおよびATAC-seqを行った。 まずPerturb-seq法に用いるためのベクターシステムとして既に報告されているバーコードシステムを用い、計93種類のgRNAを含むライブラリを構築した。このライブラリをマウス乳腺上皮細胞株に感染させ、Perturb-seqの予備実験を行った。しかしながら、各々のgRNA当たりの発現細胞数が十分でないため、有意義なデータは得られなかった。大きな原因として考えられるのはウィルスの力価が低いため十分な数の感染細胞が得られなかったことが挙げられる。マウスの移植実験ではより高力価のウィルスが要求されるため、大幅な改善が必要であるとの結論に至った。 同時並行で、リファレンスデータを得るためにマウスの正常乳腺上皮細胞のシングルセルRNA-seqおよびATAC-seqを行った。トランスクリプトームおよびエピゲノムともに正常乳腺上皮細胞のサブタイプが検出され、リファレンスデータとして意義のあるデータであることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回Perturb-seq法に用いるウィルスベクターシステムの開発は初年度に完成する予定であったが、予想外にウィルスの力価が上がらなかったため、大幅な改善が必要となった。 マウスの正常乳腺上皮細胞のリファレンスデータに関しては順調に結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は生体モデル(マウス)にEMT/MET制御因子を標的としたPerturb-seq法を応用することを第一の目標とする。 1.シングルセル解析により、マウス乳腺上皮系統間でのEMT/MET制御因子の活性変化を同定する(平成30年度前半・後半)昨年度に得られたシングルセルRNA-seqおよびシングルセルATAC-seqのデータをより深く解析し、EMT/METに関連する転写因子の活性がそれぞれタイプの乳腺上皮細胞でどのように制御されているかを解析する。また、網羅的解析によりそれぞれの乳腺上皮リニエージにおける重要な制御因子を同定する。 2.in vivoで使用するためのレンチウィルス発現システムの最適化(平成30年度前半)gRNAの発現効率を上げるため、異なったウィルス発現プラスミドによるgRNAの発現を試みる。また、ウィルスの力価を上げるためのプロトコルの最適化を行う。また最近、gRNAを直接検出する方法が確立されている(10XGenomics社)。この方法を用いれば通常のgRNA発現ウィルスシステムも使えるので高力価のウィルスが容易に得られると考えられる。バックアッププランとしてこちらも同時に行う。 3.乳腺上皮細胞株におけるEMT制御機構の系統的機能解析(平成30年度後半)Perturb-seqシステムを単離したマウス乳腺上皮細胞に導入し、宿主に移植する。移植乳腺をシングルセル解析し、それぞれのEMT/MET制御因子が乳腺上皮幹細胞の分化に与える影響を試験する。
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Research Products
(4 results)