2018 Fiscal Year Annual Research Report
A mathematical approach for Hebb's "phase sequence" scenario as chaotic self-organized criticality
Publicly Offered Research
Project Area | Brain information dynamics underlying multi-area interconnectivity and parallel processing |
Project/Area Number |
18H05136
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
末谷 大道 大分大学, 理工学部, 教授 (40507167)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 位相連鎖 / カオス / 自己組織化臨界 / セルアセンブリ / 視覚情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度では、まず初期視覚野の符号化とダイナミクスを表現する計算論モデルおよび力学系モデルに関する情報収集を行った。情報量最大化原理・スパース符号化原理・予測符号化原理などの従来からある計算論モデルに加え、より力学系としての脳のダイナミクスの力点を置いたモデル、すなわち、初期視覚野において発生する自発活動のメカニズムを探求するモデルについて、特にKenetらの実験結果を解釈するのに有用と思われる研究事例について調査した。 次に、視覚刺激の大域的な形状を数学的に表現するための方法として、パーシステントホモロジーなどの代数トポロジー・計算トポロジーに基づく数学的表現方法を考え、その妥当性を検証するために、視覚情報処理においてトポロジーを利用した研究事例について調査した。そして、これらの先行研究を踏まえて、本研究で提案する形状知覚に関する数理モデルの基本的部分をデザインした。 また、以前から行なっている、再帰的神経回路網によるパターン生成学習において発生するカオス遍歴的なダイナミクスについて、リアプノフ指数の揺らぎと結合行列の固値分布の観点から引き続き研究を進め、国際会議で発表した。それらに加え、行列間のlog-detダイバージェンスに基づく行列間距離の導入と多様体学習による遍歴的に遷移する非定常ダイナミクスの低次元可視化に関する解析法を提案し、数値シミュレーションデータに適用するなどを通じて予備的結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の部分でも述べたように、モデルの基本的なアーキテクチャはデザインすることが出来たが、全体としての整合性はまだ不透明な部分もあり、数値シミュレーションなどによる具体的検証もできていない。再帰型神経回路網における遍歴ダイナミクスについても、全体としては進展はあったが、当初の目標であったネットワーク内部の情報流の揺らぎの観点からの解析が進んでいないなど、遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度では、与えられた視覚刺激を一つの図形として大域的に知覚する状態の数学的表現として、代数トポロジーに基づく諸量(パーシステントホモロジーなど)を用いるアイデアを提案した。2019年度では、ボトムアップ的なヘッブ学習により図形の局所的特徴表現の獲得とトップダウン的な拘束条件となる図形のトポロジカルな構造の獲得の双方による自己組織化としての図形の知覚問題に取り組む。そして、安定カオスや情報流の大偏差的揺らぎの観点から複数のセルアセンブリ間の遷移列として実現する位相連鎖の非線形動力学的・統計力学的性質を調べる。 また、行列間のlog-detダイバージェンスに基づく行列間距離の導入と多様体学習による遍歴的に遷移する非定常ダイナミクスの低次元可視化に関する脳情報解析法を提案する。fMRIで観測されるdynamic functional connectivity等への適用を視野に、本領域の実験系研究者との共同研究を実施する。
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