2018 Fiscal Year Annual Research Report
作業記憶課題における海馬での情報処理の原理
Publicly Offered Research
Project Area | Brain information dynamics underlying multi-area interconnectivity and parallel processing |
Project/Area Number |
18H05149
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
檀上 輝子 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 研究員 (60613247)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 海馬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、電子生理学的手法を用いて、ラットの海馬内の各領域から自己と他者の場所を表象する細胞を同定し、海馬内の情報処理の原理を明らかにすることを目的とする。そのために、他者の場所認知を必須とする行動課題を設計し、行動課題中のラットの海馬から神経活動記録を行う。具体的な行動課題としては、2匹のラットを用い、1匹目のラットの場所を2匹目のラットに観察/認知させるものを計画しており、1匹目のラットの場所を認知する際に特異的に発火する神経細胞を2匹目のラットから記録する予定である。海馬から神経活動を記録するために、本研究では、多チャンネルのシリコンプローブを用いた大規模細胞外神経活動記録を行い、同時にオプトジェネティクス技術を用いて細胞種の同定や神経投射ターミナルに対する活動性の制御を行う。 本年度は、オプトジェネティクス技術と大規模細胞外神経活動記録を同時に行うための諸条件を検討した。オプトジェネティクスを細胞種の同定に用いる方法はすでに確立しており、行動課題中の神経活動記録に応用することが可能である。一方、オプトジェネティクスを用いて、広範囲に神経細胞特異的な活動制御と、神経活動記録を同一部位に行うには、光刺激技術の手法を未だ改良する必要がある。また、神経投射ターミナルの活動制御に関しては、さらに光刺激部位の先端と神経ターミナルとの距離を考慮に入れた効率の良い光刺激技術の開発が必要となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オプトジェネティクスを併用した大規模細胞外神経活動記録の手法は確立されており、これを行動課題中のラットに用いることが可能であり、概ね順調に進んでいると考えられる。その他の技術開発に関してはある一定期間、模索が必要と予測されるため、すでに確立した技術を用いて、行動課題中の動物から神経活動を記録し、解析を進めることを考慮している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的の一つは、嗅内皮質第3層(EC3)からCA1への入力がどのような情報を伝達するかを解明することであり、その方法として、EC3からCA1への神経ターミナルでの活動制御を行いたいと考えていたが、短期間で実行することは困難と考えられるため、CA1へ投射するEC3の神経細胞をラベル、同定しながら、神経活動を測定することも考慮しながら、研究を進める方針である。
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