2018 Fiscal Year Annual Research Report
神経修飾物質による皮質アストロサイトの中長期的な活動観測と機能的意義の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Brain information dynamics underlying multi-area interconnectivity and parallel processing |
Project/Area Number |
18H05150
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
平瀬 肇 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (90392084)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大脳新皮質 / アストログリア / 神経細胞 / 神経修飾物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の主要目的である神経修飾物質により誘発される神経細胞とアストロサイトのcAMPの動態の観測を可能とするために、赤色cAMP蛍光センサーPink Flamindoをテトラサイクリン応用因子(TRE)の下流に組み込んだ遺伝子改変動物の作製に着手した。複数の系統で遺伝の組み換えが確認された。これらの系統の中から2系統をテトラサイクリン調節性トランス活性化因子(tTA)を発現するマウスと掛け合わせた仔マウスの脳での発現を調べた。その結果、Pink Flamindoの発現は確認できたが、生体脳イメージングが可能なほど高い発現は見込まれないという結果であった。目下、未確認の系統のPink Flamindoの発現を確認中である。一方、アデノ随伴型ウィルス(AAV)を利用したPink Flamindoは、イメージングが可能である高い発現が認められる。2種のAAV混合させ、Pink FlamindoとFlamindoを大脳皮質のアストロサイトにの共発現することを試行したが、両方の蛍光センサーを同じ細胞内に同程度発現することが難しいという断定的な結果を得た。しかし、Pink FlamindoのみをAAVで大脳皮質アストロサイトに発現した生体脳イメージングで、神経修飾物質による有意なシグナル上昇を得ることを確認できた。したがって、恐怖条件学習中のマウスの大脳皮質アストロサイトcAMP変化をPink FlamindoをAAVで発現させたマウスで観測する実験に着手した。恐怖条件学習は、頭部を固定した状態で腹部~後肢に電流ショックを与えることで成立することを確認した。また、アストロサイトのカルシウムも同時に観測する実験にも着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
赤色cAMPセンサーを発現するマウスの発現具合の確認に時間がかかっているが、その他はおおむね順調である。赤色と緑色のcAMPセンサーの共発現の系は上記の実験から中断するが、赤色センサーのみでcAMPの信号変化が確認できていることから、来年度もcAMPのイメージングは赤色センサーを利用して行うこと計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、頭部固定恐怖条件学習中の大脳皮質のアストロサイトの活動と神経修飾物質の放出についてのイメージングを引き続き行う。また、中長期的な変化をとらえるために、学習成立後の生体脳イメージングにも取り組む。
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