2018 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical elucidation of the reactivation mechanism of the oxygen-evolving complex in photosystem II
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of novel light energy conversion system through elucidation of the molecular mechanism of photosynthesis and its artificial design in terms of time and space |
Project/Area Number |
18H05154
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
庄司 光男 筑波大学, 計算科学研究センター, 助教 (00593550)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 光化学系II / 水分解反応 / 反応機構 / QM/MM / 再活性化 / クラスター再構築 / 構造変化 / 人工光合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
光化学系II(PSII)における水分解反応(2H2O + 4hv -> O2 + 4H+ + 4e-)の中でも、Mn4CaO5骨格の再構築過程は、人工光合成系で効率が特に悪いステップであるために、その反応機構解明はPSIIだけでなく、人工光合成の発展のためにも特に重要である。Mnクラスター骨格の再構築過程はKokサイクルにおける3→[S4]→S0遷移の後半過程で起こる。本過程は酸素分子放出と水分子の挿入過程と連動しているが、これらの素過程が別々に起こると 20 kcalmol-1の高い反応障壁が必要であるが、酸素分子放出と共にCaイオンに配位する水分子(W3)が協奏的に反応を起こすと反応障壁は12.3 kcalmol-1となり、十分起こり得る。また、本反応障壁のエネルギーは触媒反応速度とも良く一致していることを初めて理論計算を元に解明した。生成される酸素分子はW3に押し出されるようにしてO5原子近傍のVal185側鎖で被われる疎水環境を通って、Asp61側に透過するため、非極性の酸素分子の誘導に最適な環境が形成されている。また、Asp61からPSII外のチラコイド内側には酸素分子が透過できるチャネルが形成されているため、PSII-OECの水分解反応は蛋白環境場が効率的な反応に極めて重要である。本反応過程は自然界における効率的な光エネルギー変換システムとして極めて重要であり、自然が27億年以上かけて改善し獲得してきたPSIIの水分解反応の効率的仕組みの1つであると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に進行している。当初の計画通り、MnCaO4の再構築過程の理論解明を行い、論文発表に至った。我々の理論解析結果の発表の後で、J.KernらはKok-Joliot cycle中の全ての安定中間体状態(Si, i=0-3)のXFEL構造を報告している(Nature 2018)。彼らの構造ではS3状態生成後にW3近傍に新たな水分子の存在が見えており、その結果からW3が基質水分子の候補であると結論付けている。また、SugiuraらはVal185 をThrに置換することで、S3 -> S0遷移が極めて遅くなることを報告した(BBA 2018)。これらの結果は我々のS3->S0遷移での反応機構と良く整合しており、計画通りに研究が発展してきている。
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Strategy for Future Research Activity |
反応中間体の構造がXFELで報告されており、これまで予想もしなかったような構造変化が観測できるようになってきているので、それらの理論解析を実施する。さらに、人工光合成の研究を進展させるように。モデル錯体における構造や電子状態、反応性の相違について理論解明する。
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Research Products
(11 results)