2018 Fiscal Year Annual Research Report
光音響分光法を用いた半導体光電極の「真の」量子効率測定システムの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of novel light energy conversion system through elucidation of the molecular mechanism of photosynthesis and its artificial design in terms of time and space |
Project/Area Number |
18H05172
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
村上 直也 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (10452822)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 半導体光電極 / 光音響分光法 / 量子効率 / 量子収率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者が開発した光音響分光装置と光電気化学測定装置を組み合わせることによって、多孔質電極ではこれまで評価不可能であった“真の”量子収率を測定することのできるシステムを確立し、本システムを幅広い種類の半導体光電極に適用させることを目的に実験を行った。 まず、測定試料となる半導体光電極の作成を行った。今年度は、光電極の材料としてn型半導体である酸化タングステン(V)およびバナジン酸ビスマスを採用し、前駆体や成膜法を工夫することにより、透明および不透明の光電極を溶液法によって作成することができた。 次に、光音響セルと光電気化学セルを組み合わせ光電気化学測定と光音響測定を同時に行い、これらの結果から半導体光電極の“真の”量子収率を解析することを試みた。光反応電流はポテンシオスタットにより、光音響測定は我々が開発した分析システムを適用することにより計測を行った。透明な半導体光電極の測定結果より、得られた“真の”量子収率が妥当であることを示し、さらに本システムを、不透明半導体光電極へ適用し、多孔質電極の“真の”量子収率を明らかにすることができた。 また、本分析システムの応用展開として、半導体光電極の最適化を行うために有用な測定法(光吸収と性能の同時測定システム)の開発も同時に行った。階段構造を有する試料を作成し、光吸収と光電流の同時測定を行った。これにより、半導体光電極における重要なパラメータである半導体膜厚を効率よく最適化することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で最も難易度が高いと考えていた“真の”量子収率を測定するシステムの構築を、本年度前半に達成することができ、後半は装置の妥当性を示すことができた。そのため、あとは着実にデータを取得していけば、本研究の目的の達成が見込める。以上の理由により、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展していると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
“真の”量子収率測定の照射波長依存性を測定することによって、半導体光電極のアクションスペクトルを明らかにする。また、光電極の活性化処理(助触媒の担持、熱処理、等)によって、光吸収と“真の”量子収率をそれぞれ測定し、なぜ性能が向上するかを明らかにする。もう1つの応用展開である光吸収と性能の同時測定システムに関しては、従来法と比較しながら本手法の妥当性・有用性を検証する。また、これらの研究により得られた結果の学会発表や、学術論文への投稿などの外部発信も行っていく予定である。
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