2018 Fiscal Year Annual Research Report
Electronic coherence of photosynthetic antennas induced by sub-10 fs laser pulses
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of novel light energy conversion system through elucidation of the molecular mechanism of photosynthesis and its artificial design in terms of time and space |
Project/Area Number |
18H05173
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小澄 大輔 熊本大学, パルスパワー科学研究所, 准教授 (70613149)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 光合成 / 超高速現象 / エネルギー移動 / 電子コヒーレンス / 極超短光パルス |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、光合成色素タンパク複合体に結合する色素分子と周辺環境との相互作用を分子レベルでの解明を実現することを目的とし、そのための高感度サブ10フェムト秒コヒーレント分光計測の構築を行った。具体的には、(1)高強度サブ10フェムト秒光パルス発生技術の構築、(2)高感度ポンプ・プローブ分光計測機の構築を行った。 (1)高強度サブ10フェムト秒光パルス発生技術の構築 現有設備の100フェムト秒チタンサファイア再生増幅器を光源とし、出力パルスを希ガスが充填された中空糸ファイバー中に伝搬させることで、自己位相変調によるスペクトルの広帯域化を行い、その後チャープミラーで時間圧縮を行った。ファイバーに充填する希ガスにネオンを使用した場合には、12フェムト秒程度までしかパルス圧縮できなかったものの、代わりにアルゴンを使用することで、1パルスあたりのエネルギー400マイクロジュール、パルス幅7フェムト秒の光パルスを得ることに成功した。 (2)高感度ポンプ・プローブ分光計測機の構築 高感度検出を実現するため、レーザーのパルス繰返し1kHzに同期した検出システムの構築を行った。1024チャンネル検出と高速読み出しが可能なCMOSリニアイメージセンサーを導入した。ポンプ・プローブ分光計測系に構築した検出システムを組み込むことにより、300~1000ナノメートルの波長域を一度に検出し、数秒の測定時間で10^-4程度までノイズレベルを低減させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標としていたサブ10フェムト秒光パルス発生技術の構築及び、高感度検出ポンプ・プローブ分光の構築が達成できた。また、その他にも現在稼働中のピコ秒時間分解発光分光を新学術領域研究内の共同研究に提供することにより、多くの研究成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度確立した極超短光パルス発生法をさらに改良することにより、光パルス幅時間に電場周期が2サイクル以下となるような、サブモノサイクル化をめざす。光パルスのモノサイクル化を行うことにより、本申請で目的としている色素分子間総合作用の実時間計測に不可欠な、位相敏感測定の実現化期待される。また、2018年度に構築したサブ10フェムト秒光パルス発生技術と高感度ポンプ・プローブ分光計測器を組み合わせることで、光合成色素タンパク複合体に結合する色素分子と周辺環境との相互作用を分子レベルでの解明を行う。また、現在稼働中のピコ秒時間分解発光分光及び、100フェムト秒光パルスを使用したポンプ・プローブ分光を液体窒素温度下で行えるように実験系を改良し、新学術領域内共同研究者に公開する。
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Research Products
(26 results)