2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of photosynthetic methane production by hydrogen production in green sulfur bacteria
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of novel light energy conversion system through elucidation of the molecular mechanism of photosynthesis and its artificial design in terms of time and space |
Project/Area Number |
18H05181
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
浅井 智広 立命館大学, 生命科学部, 講師 (70706564)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 緑色硫黄細菌 / ヒドロゲナーゼ / 光合成水素生産 / 嫌気 / メタン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、HydA1の異種発現によって構築した緑色硫黄細菌の絶対嫌気的な光合成水素生産系と、メタン生成菌の異化的メタン生成を生物学的に融合させ、独立栄養的にメタンを生産する生物学的システム「光合成メタン生成系」の構築を目的とする。その第一歩として、水素発生する緑色硫黄細菌とメタン生成菌の共培養系を構築する。初年度である平成30年度の研究では、主に緑色硫黄細菌による光合成水素生産系の改善と、メタン生成菌の安定的な継代培養システムの構築を進めた。 これまでの研究により、緑色硫黄細菌Chlorobaculum tepidumにおいてホロ型の[FeFe]ヒドロゲナーゼを発現させることに成功しており、光合成に依存した水素の生産を実現している。このC. tepidumの培養からホロ型[FeFe]ヒドロゲナーゼを精製した結果、約半分の酵素が金属活性中心を保持していないアポ型であることがわかった。金属活性中心の生合成基質である二価の鉄イオンを培地に添加したところ、培養に蓄積する水素量を約二倍増加させることに成功した。 一方、メタン生成菌の培養では、まずC. tepidumとの共培養に適した菌株を選定した。光合成メタン生成系に使用するための必要な条件として、無機的な培地で水素を電子源として増殖すること、C. tepidumと同等の好熱性を有することを条件とした結果、Methanothermobacter thermautotrophicusを選んだ。嫌気チャンバーを使った1 ppm以下の酸素濃度の厳密に嫌気的な環境での培地調製と植菌により、5%以下の低濃度の水素でも無機的に継代培養できることがわかった。これは現状のC. tepidumの光合成水素生産系の水素発生活性でもM. thermautotrophicusが十分に増殖できることを支持している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究において、緑色硫黄細菌とメタン生成菌の共培養系の構築の開始と緑色硫黄細菌の光合成水素生産系の水素発生量の改善を計画していた。メタン生成菌の安定的な継代培養には目途が立ち、既に緑色硫黄細菌との共培養に着手している。光合成水素生産系ではヒドロゲナーゼの成熟化率を向上させ、水素発生量を倍増させることに成功している。次年度の研究によって共培養系での光合成に依存したメタン生成を検証できる見込みであり、研究期間中に光合成メタン生成系の構築は十分に視野に入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)光合成メタン生成系の確立では、緑色硫黄細菌とメタン生成菌の共培養系の構築と最適化を進める。水素を電子源として生育するメタン菌が、緑色硫黄細菌の光合成水素生産に依存して増殖することを実証する。培養中のメタン生成量を定量し、緑色硫黄細菌が発生させる水素量とメタン菌が放出するメタン量の相関関係を明らかにする。また共培養系の条件検討により、長期間安定に共培養状態が維持される条件、最小限の物質投資で長期間メタン生成が持続する条件を探索する。 2)光合成水素生産系の最適化では、緑色硫黄細菌に発現したヒドロゲナーゼの生化学的な構造機能解析を進める。既に報告のある昨年度の研究によって見出した、緑色硫黄細菌においてヒドロゲナーゼの成熟化を促進する培養条件を基に、各種変異型ヒドロゲナーゼの生化学的な活性と水素生産能力をガス分析で調べる。水素生産能力が高いものから随時、1)の光合成メタン生成系に利用し、メタン生成量への寄与を評価する。
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