2018 Fiscal Year Annual Research Report
紅色光合成細菌の光収穫タンパク質への異種色素の再構成によるアンテナ機能の制御
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of novel light energy conversion system through elucidation of the molecular mechanism of photosynthesis and its artificial design in terms of time and space |
Project/Area Number |
18H05182
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
佐賀 佳央 近畿大学, 理工学部, 教授 (60411576)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 光合成 / タンパク質 / クロロフィル / エネルギー移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
光合成の初期過程で重要な光収穫タンパク質のエネルギーフローのメカニズムの理解は天然光合成研究の重要課題であるとともに、人工光合成の高効率化に対する設計指針を与える。そこで、紅色光合成細菌の光収穫タンパク質・LH2をターゲットとし、B800 バクテリオクロロフィル(BChl)a(800 nm付近にQy吸収帯を示すBChl a)を選択的に脱離させ、その部位へ本来のBChl a以外の異種色素を導入する方法論を確立し、得られたタンパク質の構造と特性を主に解析した。 タンパク質構造が解明されている2種類のLH2タンパク質(紅色光合成細菌Rhodoblastus acidophilus由来のLH2とPhaeospirillum molischianum由来のLH2)からのB800 BChl aの脱離挙動が大きく異なることを明らかにするとともに、B800 BChl aが脱離してもタンパク質構造が保持されることを示した。また、B800 BChl aが脱離した部位へ、テトラピロール環骨格が異なるクロロフィル色素を再構成することに成功した。また、クロロフィル(Chl)dを再構成したLH2では、Chl dとタンパク質の相互作用が天然LH2のB800 BChl aと同様であることを明らかにした。LH2タンパク質のB800 BChl a結合部位に再構成された異種色素は、エネルギーアクセプターであるB850 BChl aにエネルギーを受け渡すことも示した。あわせて、Rhodoblastus acidophilus由来のLH2タンパク質を酸化剤で処理することによって、タンパク質に結合した状態のB800 BChl aを選択的にクロリン環色素に変換することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、紅色光合成細菌のLH2タンパク質のB800部位にさまざまなクロロフィル色素を導入することに成功し、得られたタンパク質の機能解析を順調に進めることができた。それらの成果を論文として発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は順調に推進しているので、今後も同様に紅色光合成細菌の光収穫タンパク質への異種色素導入による機能制御に関する研究を推進する予定である。
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