2019 Fiscal Year Annual Research Report
パレオアジアDBデータ時空間動態の可視化と文化多様性形成プロセスの推定
Publicly Offered Research
Project Area | Cultural history of PaleoAsia -Integrative research on the formative processes of modern human cultures in Asia |
Project/Area Number |
19H04520
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田村 光平 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (60725274)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 考古学 / 文化進化 / 旧石器時代 / データベース / 石器製作技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、多変量解析や空間統計学といった定量的な手法をもちいてパレオアジアDBの石器製作技術のデータを解析することで、データセットにみられるパターンを可視化するとともに、それを生み出した形成プロセスについても推定することである。 本年度は、文化多様性の空間構造の解析を重点的におこなった。たとえば、モードの構成を直接比較することで、ロシアを除けば東アジアはほとんどの文化層がユニークなモードの構成をしていることや、東アジアでは、近接した遺跡であっても、モード構成の違いが、レヴァントに比べて非常に大きいことが示唆された。また、レヴァントからの人の移動が示唆される北回りルートだけみても、出レヴァント後に複数のモードを失い、かつ新しいモードを獲得していることもわかった。 こうしたデータ解析と並行して、文化大進化のシミュレーションモデルを構築し、方法論的な検討をおこなった。たとえば、モード構成間の違いを定量化するために、シミュレーションによって生成されたデータに対して複数の方法で距離を計測し、どのようなパターンがみられるのかを観察した。また、考古学データにおいては本来あった石器製作技術のごく一部しか得られないことが考えられるため、このような距離が、本来はあったモードが無くなるという「ノイズ」にどのような影響を受けるのかについても検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ解析は順調に進んでいるが、シミュレーションモデルは、二重波モデルを実装するところまで至らなかった。一方で、研究協力者の洪の助力を得て、データにみられるバイアスの検討が進んでいるため、総合的にみて「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
とくに東アジアについて、モードによる石器製作技術のコード化に伴うバイアスのかかり方を検討するために、器種組成が既知の遺跡を対象として、器種レベルでのデータとモードに落としたデータとで、結果に違いが現れるかを検討する。同時に、パレオアジアDBのデータと二重波モデルからの予測を対応づけるためのシミュレーションもおこなう。そうすることで、とくに南回りルートにみられる文化多様性のパターンを説明することをめざす。また、データベースが拡張を続けているため、追加されたデータも含めて再解析をおこない、結果の整合性を確認する。
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