2019 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical analyses of phonon behaviors at singularity structures in nitride semiconductors
Publicly Offered Research
Project Area | Materials Science and Advanced Elecronics created by singularity |
Project/Area Number |
19H04536
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 聡 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (00292772)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 特異構造 / 第一原理計算 / 窒化物半導体 / フォノン / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、窒化物半導体におけるフォノンバンド構造やフォノン状態密度を計算し、特異構造の導入によるフォノンの振舞いの変化を明らかにすることを目指し、機械学習ポテンシャルの開発に取り組んでいる。 令和元年度は、代表的な窒化物として主にGaNを取り上げ、特異構造におけるフォノン挙動の解析に際して十分な精度を持つ機械学習ポテンシャルの開発とそのための解析に集中的に取り組んだ。まず原子空孔欠陥周辺の格子緩和の様子と欠陥の荷電状態との相関を密度汎関数法に基づく第一原理計算を用いて調べ、荷電状態に応じた欠陥周囲の原子緩和の様子の違いを明らかにした。また、これをニューラルネットワークに基づく機械学習ポテンシャルにより調べた結果と比較し、緩和の様子の計算スーパーセルサイズ依存性において両者に違いがみられることを見出した。ただし差は大きく無いので、これが有意なものであるかを今後検討する。 以上に加え、特異構造として異種窒化物半導体界面も重要なターゲットであることに鑑み、InN/AlN界面を対象に機械学習ポテンシャルの開発に取り組み、精度のさらなる改善は要するものの、ポテンシャルを作成できた。また、荷電状態を陽に考慮するためのニューラルネットワークによる有効電荷の予測についても精度の向上に取り組み、これもさらなる改善が必要ではあるものの、従来に比べ精度を改選することができた。 次に、原子空孔欠陥を含むGaNにおけるフォノンバンド構造やフォノン状態密度を計算し、欠陥導入によるフォノンバンド構造および熱伝導特性の変化について予備的な結果を得た。またこの過程で、欠陥を含む場合の機械学習データの効率的なサンプリング法を考案した。欠陥周囲においてはまだ精度が十分とはいえないので、ポテンシャルの一層の精度向上をはかった上で、来年度に本格的な計算・解析に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
欠陥の荷電状態と周囲の原子緩和との相関をある程度明らかにしたこと、原子空孔欠陥を含むGaNにおけるフォノンバンド構造やフォノン状態密度を計算できたこと、InN/AlN界面に適用できる機械学習ポテンシャルの開発がある程度進んだこと等の成果を得たこと、加えて欠陥を含む系に対する機械学習データのサンプリングについて新たな方法を考案したことから、研究はおおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの進捗を踏まえ、GaNとAlN/InNヘテロ構造を主なターゲットとして2つのサブテーマに対し以下のように進める。 (1)機械学習ポテンシャルの開発:欠陥の荷電状態とその周辺の原子配置との相関:機械学習ポテンシャルによる計算結果と密度汎関数法計算結果の比較・検討をさらに進め、両者の違いがどの程度有意なものであるかを明らかにする。有意な差があると認められる場合、ボルン有効電荷を記述するニューラルネットワークを組込んだ機械学習ポテンシャルでの解析も試みる。次に、AlN/InNヘテロ構造を対象とした機械学習ポテンシャルを十分な精度が得られるよう改良する。そして、これを用いて界面構造緩和及び界面フォノンを解析する。 (2)フォノン挙動の解明:十分な精度が得られるよう機械学習ポテンシャルを改良した上で、欠陥を含む場合と含まない場合のフォノン構造を計算して比較・検討し、欠陥によるフォノン構造の変化の特徴を解析する。この特徴を抽出する方法の開発も試みる。
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