2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of low-temperature growth technique for GaAs-based semiconductor alloys to utilize defects inside their crystals
Publicly Offered Research
Project Area | Materials Science and Advanced Elecronics created by singularity |
Project/Area Number |
19H04548
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
富永 依里子 広島大学, 先端物質科学研究科, 講師 (40634936)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | GaAs系半導体混晶 / 低温成長 / アモルファス堆積 / X線回折 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、光通信帯光源が利用可能なテラヘルツ波発生検出用光伝導アンテナ(PCA)の開発を行うことを最終目的としている。その候補材料として研究代表者が取り組んでいるビスマス(Bi)系III-V族半導体の最終的な材料の成長に向けて、今年度は、三元混晶のInGaAsとGaAsBiの分子線エピタキシャル(MBE)成長と基礎物性の解明に取り組んだ。
両混晶とも、250℃以下の低温成長を適用し、今後のPCAの製作に向けて意図的に結晶内に点欠陥が取り込まれるようにした。InGaAs, GaAsBiいずれの場合も、基板温度が180℃の場合には、InP(001)とGaAs(001)基板上にそれぞれアモルファスとして堆積した。一方基板温度が250℃の場合には単結晶が成長した。単結晶の成長時には、いずれの場合もX線回折パターンにおいて、回折ピークには干渉フリンジが確認できた。250℃という低温成長であっても、電子面間隔が均一かつ基板との界面が平坦なInGaAsやGaAsBiが得られることが明らかになった。低温成長GaAsBiにおいては、MBE成長時に適用したAs/Ga分子線量比を成長表面に供給されるAs/Ga原子数比に換算して考察した結果、供給原子数比が1未満ではBiが薄膜内で表面偏析し、1より大きい場合にはBiが均一に取り込まれることを明らかにした。
これら250℃で低温成長したInGaAsとGaAsBiの光吸収スペクトルに対し、関数のフィッティングを行うことでバンド端の揺らぎの評価を行った。その結果、低温成長GaAsBiのバンド端の揺らぎはInGaAsの場合の約10倍であることが示唆された。この揺らぎの原因として、GaAsBi内のBiクラスターの存在やアンチサイトAs, 格子間AsおよびGa空孔やこれらの複合欠陥といった点欠陥の存在が推測される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GaAsBi内のBi原子を薄膜内に均一に取り込むことが可能な低温MBE成長条件を見出すことができ、III-III-V族半導体であるInGaAsとIII-V-V族半導体であるGaAsBiの結晶性の類似性や基礎特性の差異を明らかにすることができたため、順調に進んでいると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度に明らかになった「低温成長GaAsBiのバンド端の揺らぎ」について、現時点ではBiクラスターやアンチサイトAs, 格子間As等の点欠陥がGaAsBi結晶内に存在していることを反映したものと推測している。最終的なPCAの製作に向けて、これら点欠陥の種類や密度とMBE成長条件の相関を得ることが次年度の課題である。新学術領域内での共同研究体制を整えるなどして、点欠陥の確認や種類の評価を行う予定である。
|
Research Products
(10 results)