2019 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of Asymmetric flexible coordination systems via hydrogen-bond-directed self-assembly of cyclic polyethers
Publicly Offered Research
Project Area | Coordination Asymmetry: Design of Asymmetric Coordination Sphere and Anisotropic Assembly for the Creation of Functional Molecules |
Project/Area Number |
19H04557
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久木 一朗 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (90419466)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 水素結合 / 多孔質構造 / クラウンエーテル / カルボン酸 / 超分子化学 / 結晶工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、カルボキシ基で修飾した有機機能分子を、水素結合を介して自己集合させ、内部にアシンメトリック配位圏をもつ水素結合性多孔質構造体を構築するとともに、外部刺激に対して異方的に応答できる機能材料へと展開することである。具体的には、環状ポリエーテルが共同的に作り出す柔らかなアシンメトリック配位圏を多孔質フレームワークの内部に創出し、周囲の空間を利用して金属イオンやキラル分子を可逆的に挿入・脱離させ、動的な機能発現を実現する。古典的な高機能分子であるクラウンエーテルは、カチオン種に対する選択的・高親和性のため、相間輸送剤、センサー、キラルアミンの認識・分割剤など数々の用途に使われているが、高結晶性の多孔質構造体に組み入れた例は極めてまれであり、新しい科学領域へと発展できる可能性がある。初年度は、多孔質ネットワーク構造を形成するための鍵構造である4,4'-dicarboxy-o-terphenyl (DoT) 部位を、ジベンゾ18クラウン-6、トリベンゾ18クラウン-6およびジベンゾ24クラウン-8に導入した3種類の分子を合成し、それらを用いて内部空間を有する結晶性分子集合構造の構築を行った。その結果、カルボシキル基は予想した典型的な水素結合2量体ではなく、非対称2量体や3量体を形成していた。また、一部の構造ではカルボキシル基が水分子や溶媒分子と水素結合し、クラウンエーテル誘導体の水素結合ネットワーク化に関与していないことが明らかになった。一方で、得られた構造体はDoT部位およびクラウンエーテル環に囲まれた内部空間を有しており、計画とは異なるが、目的とする構造体を得ることができた。以上の結果は、イオノファーを構成要素に用いた新たな多孔質構造体の構築指針を示すのもであり、今後内部空孔への金属イオンやキラル分子の導入による機能化へと展開する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
構造体を構成する分子の合成を行った。多孔質ネットワーク構造を形成するための鍵構造である4,4'-dicarboxy-o-terphenyl (DoT) 部位をもつクラウンエーテル誘導体、すなわちジベンゾ18クラウン-6 (D18C6)、トリベンゾ18クラウン-6 (T18C6)、およびジベンゾ24クラウン-8 (D24C8) の誘導体)を、中程度から高い収率で合成した。続いて、結晶化による多孔質構造体の構築を行った。剛直な18-クラウン-6誘導体のうちT18C6は、その低対称構造のために多結晶のみを与えたものの、高対称性のD18C6は良質な単結晶を与えた。また、柔軟で高対称性のD24C8も、良質の単結晶を与えた。放射光施設(SPring-8)においてX線回折像を取得し、構造解析を行うことによって、これらの結晶構造を明らかにした。カルボシキル基は予想した典型的な水素結合2量体ではなく、非対称2量体や3量体を形成していた。また、一部の構造ではカルボキシル基が水分子や溶媒分子と水素結合し、クラウンエーテル誘導体の水素結合ネットワーク化に関与していないことが明らかになった。しかし、得られた構造体はDoT部位およびクラウンエーテル環に囲まれた内部空間を有しており、計画とは異なるが、目的とする構造体を得ることができた。以上の結果より、本研究はおおむね順調に推移していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、引き続き構成分子の合成および構造体の構築を行う。多孔質ネットワーク構造を形成するための鍵構造であるDoT部位をもつ鎖状および環状ポリエーテル分子を合成する。比較的剛直な18-クラウン-6を中心コアにもち、周囲のDoT基の数と導入位置が異なる誘導体を合成する。また、パイ-パイ相互作用による構造体強度の補強と蛍光発光機能の付与を指向したピレン部位をもつ18-クラウン-6および24-クラウン-8の誘導体を合成する。結晶化によるポリエーテルHOFの構築と構造解析を行う。18-クラウン-6および24-クラウン-8誘導体の結晶化を行い、水素結合性有機フレームワーク(HOF)の構築を行う。同時に、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属カチオン存在下で構成分子を結晶化させ、HOFとは異なる環境を有する多孔質材料を構築する。多孔質構造体の活性化、非対称配位空間の構築、機能発現を行う。得られた溶媒分子を含む多孔質フレームワークの活性化条件を最適化する。真空下加熱法に加え、低沸点の溶媒に段階的に置換した後に低温で減圧する方法によって、フレームワークの構造を維持した多孔質材料を調整する。得られた多孔体の単結晶構造解析、および低温下ガス吸着実験による空隙の評価を行う。活性化した多孔体には複数のチャネル空間、すなわちクラウンによる親水性チャネルとフェニレン環による疎水性チャネルが存在する。これらを利用して親水チャネルのイオン伝導性を、疎水チャネルへのゲスト導入によって制御する。さらに、空間内にキラルアンモニウムを含浸させて不斉環境を発生させる。また、蛍光発色団をもつ環状ポリエーテルHOFの円二色性発光や強誘電特性を観測する。
|
Research Products
(14 results)
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] Three-dimensional Aromaticity in an Antiaromatic Cyclophane2019
Author(s)
Ryo Nozawa, Jinseok Kim, Juwon Oh, AnnaKamping, Yemei Wang, Soji Shimizu, Ichiro Hisaki, Tim Kowalczyk, Heike Fliegl, Dongho Kim, Horoshi Shinokubo
-
Journal Title
Nat. Comm.
Volume: 10
Pages: 3576
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-