2019 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of novel strategy for asymmetric photochirogenesis mediated by asymmetric coordination space scaffolded by biopolymer
Publicly Offered Research
Project Area | Coordination Asymmetry: Design of Asymmetric Coordination Sphere and Anisotropic Assembly for the Creation of Functional Molecules |
Project/Area Number |
19H04558
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
和田 健彦 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20220957)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | キラル配位空間 / 不斉合成 / 光反応 / 超分子 / 生体高分子 / 超分子不斉光反応 / SDGs / 配位アシンメトリック非対称空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では申請者の”生体高分子をキラル反応場とする超分子不斉光反応系”で培った知識と経験を、配位アシンメトリー不斉空間のキラル反応場としての活用研究に適用し、配位アシンメトリー不斉空間構築のスカッフォールドとして、タンパク質など生体高分子のキラル空間が活用できるのか?さらに構築した不斉空間が、超分子不斉光反応のキラル反応場として機能するのかを明らかにする。本研究により、クリーンなエネルギーである光を反応駆動力とし、生分解性の生体高分子を不斉反応場として活用し、水を溶媒とする"環境調和型不斉合成法"の有効性が明らかになることを目指した。本年度は、申請者がその特性と取り扱いを熟知しているヒト血清アルブミン(HSA)を、“配位アシンメトリック非対称空間”構築スカッフォールドとしての活用を検討した。具体的には、1.HSAをスカッホールドとする配位アシンメトリー非対称空間の構築、2. 生体高分子系配位アシンメトリー非対称空間への光反応基質の取り込み挙動ならびに相互作用の解析に取組んだ。 まず、HSAをスカッホールドとする配位アシンメトリー非対称空間の構築研究では、HSA水溶液に塩化銅(II)溶液を添加し、紫外可視(UV-Vis)ならびに円二色性(CD)スペクトルなどにより、HSAへの銅(II)イオンの取込みを詳細検討した結果、1当量の銅(II)イオンが特定のサイトに強く吸着されることを見出した。次いでこの銅(II)イオンが配位子したHSAを、生体高分子系配位アシンメトリー非対称空間として活用した超分子不斉光反応の検討に取組んだ。銅(II)イオンが配位子したヒト血清アルブミンに対し、2-アミノアントラセン(AA)を光反応基質として用い、その取込み挙動を検討した。UV&CD、そして蛍光スペクトル法を駆使し、詳細に検討した結果、AA1当量の取込みを確認し、蛍光寿命測定等も詳細に検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
タンパク質、特に血清アルブミンには金属が配位可能な結合サイトが複数存在する可能性も高く、金属イオン配位スカッホールドと用いる際、金属イオンの種類や濃度により超分子不斉光反応用キラル反応場として用いる際の障害になる可能性も想定していた。実際、用いる血清アルブミンの種類、用いる金属イオン、カウンターアニオンの種類、そして濃度などにより、再現性の乏しい複雑な結果が得られる系も複数存在した。 その様な複雑かつ困難な実験系ではあったが、数多くの検討と、合理的実験条件の検討により、血清アルブミンとイオン、カウンターアニオンの最適化、そして最適な実験条件を見出すことに成功し、HSAをスッカホールドとして活用した、超分子不斉光反応に用いうる、生体高分子系配位アシンメトリー非対称空間の構築に成功した。さらに3種類のを光反応基質候補化合物を用いた、取込み挙動の詳細な検討の結果、2-アミノアントラセンの金属配位部位への1当量の取込みを確認し、来年度につながる重要な知見を得たことは、当初想定以上に研究が進行していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた銅(II)イオンが配位子したHSAを、生体高分子系配位アシンメトリー非対称空間として活用した超分子不斉光反応への展開研究を、迅速かつ効率よく推進する。具体的には銅(II)イオンが配位子したヒト血清アルブミンに対し、3種類の光反応基質、2-アミノアントラセン(AA)、2-アントラセンカルボン酸(AC)、そして2,6-アントラセンジカルボン酸(AD)の取り込み挙動を検討する。紫外可視(UV-Vis)ならびに円二色性(CD)スペクトル、そして蛍光スペクトル法を駆使し、詳細に検討する。取込みが確認された系に関し、蛍光寿命測定さらにコンピューターを用いた in silico 実験により、励起状態ならびに基底状態における光反応基質分子の特性解析を行うと共に、銅(II)イオンが配位子したヒト血清アルブミンと光反応基質との相互作用を詳細に検討する。これらの結果に基づき、光反応基質の取込みを確認出来た生体高分子系配位アシンメトリー非対称空間を、キラル反応場とする超分子不斉光反応を詳細に検討する。反応温度、溶液pH、添加塩効果など、外部因子による超分子不斉光反応制御にも取組み、本方法論の生業法法構築にも取り組み、さらに適用反応基質ならびに適用反応の拡大にも取組み、本反応系、方法論を、一般性を有する反応系への展開を目指す。また、触媒的反応への展開に関しても反応場に取り込まれた反応基質の選択励起などを駆使し、光学収率の向上とフロー型光不斉反応系の構築を目指す。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] N-Benzoyl-Protected Peptide Nucleic Acid (PNA) Monomers Expand the Range of Nucleobases Available for PNA-DNA Chimera2019
Author(s)
Masahito Inagaki , Ryohei Uematsu , Tatsuya Mizutani , Daisuke Unabara, Yasuyuki Araki , Seiji Sakamoto , Hiromu Kashida , Masaki Nishijima , Hiroyuki Asanuma , Yoshihisa Inoue , and Takehiko Wada*
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Journal Title
Chemistry Letters
Volume: 48
Pages: 341-344
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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