2019 Fiscal Year Annual Research Report
非対称配位圏がもたらす金属錯体の光新機能:共同研究による配位アシンメトリの推進
Publicly Offered Research
Project Area | Coordination Asymmetry: Design of Asymmetric Coordination Sphere and Anisotropic Assembly for the Creation of Functional Molecules |
Project/Area Number |
19H04562
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂本 良太 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80453843)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 非対称金属錯体 / ジピリン / ジチオレン / テルピリジン |
Outline of Annual Research Achievements |
筆者が開発した金属錯体ナノシートであるNiDTの誘導体として,中心金属がPtであるPtDTを合成し,その水素発生反応(HER)の電極触媒活性を明らかとした. さらには,金属錯体ナノシートの半導体光触媒におけるHER助触媒としての利用を追究した.NiDTの類縁体であるNiBHTをHER助触媒として採用し,代表的な光触媒であるCoOx/SrTiO3との複合系の追究を行った.複合系に紫外光を照射したところ,定常的な水の完全分解を示した.対照的にPtを助触媒とした系では,H2とO2の蓄積に伴い正味の水分解反応が停止した.NiBHTは光触媒上におけるHERを加速する一方,発生した水素と酸素からの水逆生成反応,および酸素還元反応を抑制することで定常的な水分解を実現することを実験および理論の両面から明らかとした. 金属錯体ナノシートやグラフェンの同素体グラフィジインに関する総説・解説記事・書籍を執筆した. 国際共同研究により,エレクトロクロミック金属錯体ナノシート(中国),クリックケミストリーを利用したナノシート合成(フランス),金属―金属相互作用を有する発光性錯体(ドイツ)の構築を行い,学術論文として発表した. 筆者が2015年に開発した配位高分子「ジピリンナノワイヤ」は, 有機溶媒中で超音波処理することでナノワイヤ1本1本を剥離・観察可能な分子ナノワイヤである. 研究期間内には,溶媒分散性を増強するために,側鎖に長鎖アルキル基を導入したπ拡張ジピリンナノワイヤの合成を行った.得られたナノワイヤは良好な分散性と発光性を示した.また,末端をジピリン配位子で終端することで得られるジピリンナノアレイの合成を行った.現状では,GPCを用いることで,9核錯体まで単離できることを見出した.また,末端のみにヘテロ構造を有するジピリンナノアレイの合成を行い,その励起子移動過程の解析を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度から2021年度にかけ,異動が2回あり,研究環境整備に時間を要したため.
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Strategy for Future Research Activity |
末端のみにヘテロ構造を有するジピリンナノアレイの合成を行い,その励起子移動過程の解析を進める.
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Research Products
(15 results)