2019 Fiscal Year Annual Research Report
非対称要素の導入による機能性次元クロスオーバー錯体の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Coordination Asymmetry: Design of Asymmetric Coordination Sphere and Anisotropic Assembly for the Creation of Functional Molecules |
Project/Area Number |
19H04572
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大坪 主弥 京都大学, 理学研究科, 助教 (90601005)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 梯子型錯体 / ナノチューブ / らせん錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでに混合原子価一次元鎖型金属錯体を有機分子で連結した次元クロスオーバー領域に位置する多彩な梯子型錯体(金属錯体ナノチューブ・人工3重らせん錯体)を合成し、これらの次元クロスオーバー錯体が従来の一次元鎖錯体には見られない特異な混合原子価状態や物性を発現することを見出してきた。 本研究課題では、近年開発された種々の混合原子価次元クロスオーバー錯体を基盤材料に据え、異種配位子からなるナノ構造体の溶液中での接合や表面集積等の技術を駆使した非対称要素の導入を使用した、イオンの一方向輸送を可能にする人工的なイオンチャネルの構築や、人工らせん錯体を用いた光学材料の開発と、金属錯体を基盤とした分子ソレノイドの構築を目指すことを目的としている。 初年度の2019年度は、人工的なイオンチャネルのモデル構築を目指した材料開発を行った。具体的には一次元ナノチャネルを持つような金属錯体ナノチューブを基盤材料として、指向性を持った一方向のイオン伝導性を発現させることである。その結果、新規に合成した金属錯体ナノチューブにおいて疎水性空間における特異な水クラスター構造を単結晶X線結晶構造解析により明らかにすることに成功し、水分子クラスター間の水素結合ネットワークを介した超プロトン伝導性を見出すことに成功した。また、界面活性剤アニオンを用いた金属錯体ナノチューブを合成し、ナノチューブ一本を溶液中で取り出すことが可能になり、透過型電子顕微鏡観察から構造を確認することにも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いくつかの新規金属錯体ナノチューブの合成に成功し、特異な構造や物性を明らかにすることに成功している。一方で、逐次積層法等の表面集積法による基板上への積層や、溶液中での逐次反応によるヘテロ接合型の金属錯体ナノチューブの合成については現在のところ未達成である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度となる2020年度は、前年度に未達成であった逐次積層法等の表面集積法によるナノチューブの基板上への積層や、溶液中での逐次反応によるヘテロ接合型の金属錯体ナノチューブの合成を目指す。また、らせん性を制御した人工3重らせん錯体の薄膜材料を基盤とした、高強度な円偏光発光(CPL)材料・キャリア注入を駆使した分子ソレノイドの構築に取り組む。
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[Journal Article] Confined water-mediated high proton conduction in hydrophobic channel of a synthetic nanotube2020
Author(s)
Otake Ken-ichi, Otsubo Kazuya, Komatsu Tokutaro, Dekura Shun, Taylor Jared M., Ikeda Ryuichi, Sugimoto Kunihisa, Fujiwara Akihiko, Chou Chien-Pin, Sakti Aditya Wibawa, Nishimura Yoshifumi, Nakai Hiromi, Kitagawa Hiroshi
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 11
Pages: 843
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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