2019 Fiscal Year Annual Research Report
Upper bound on mass of supersymmetric dark matter
Publicly Offered Research
Project Area | New expansion of particle physics of post-Higgs era by LHC revealing the vacuum and space-time structure |
Project/Area Number |
19H04609
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白井 智 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任助教 (10784499)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / 超対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
超対称性標準模型は最も有力な新物理の候補である。超対称性は、量子重力の構築にとって極めて重要な要素である。また現象論の側面では、真空の安定性や力の大統一をもたらすとともに、暗黒物質の候補を提供する。しかしながら、重心系エネルギーが13 TeVに達する大型ハドロン衝突型加速器(LHC)をもってしても、超対称性の発見の兆候は見られていない。 このような状況でも超対称性の持つ多くの利点は失われていない。LHCで発見出来ないのは、単にその質量スケールが大きくて、LHCなどの既存の加速器では発見が難しいだけではないかと思われる。将来のより大型の実験では、より大きな質量スケールの超対称性を調べることが可能であろう。それではどの質量スケールまでに超対称性が存在するべきなのかを明らかにするのは、将来実験計画にとって重要である。 この疑問に答えるのに最も定量的な指針は暗黒物質の存在である。基本的に質量スケールが大きければ大きいほど、暗黒物質の宇宙での存在量は大きくなり、最終的には現在の観測と矛盾してしまう。そのため暗黒物質の現在の観測量から、暗黒物質の質量の上限、ひいては超対称性のスケールの上限を得ることが可能になると考えられる。 本研究では超対称性暗黒物質の質量の一般的上限を調べた。その結果、スカラークォークと暗黒物質の質量が極めて縮退している場合には、QCD相転移の際に極めて効率よく暗黒物質の存在量が減少することを明らかにした。その効果を取り入れることで超対称性暗黒物質の質量の上限は100 TeVにも達することが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画にあったようにQCDの非摂動効果が極めて暗黒物質の存在量に影響を与えることを示すことができた。質量が100 TeVを超える暗黒物質が可能であることは今までの常識とは大きく異なり、暗黒物質理論業界に大きなインパクトを与えた。
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Strategy for Future Research Activity |
QCDなどの有限温度などの効果を取り入れて暗黒物質存在量の予言の精密化を行う予定である。
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Research Products
(15 results)